「かすかな光を共にすること」 | アリス高崎障がい者就労継続支援

アリス高崎障がい者就労継続支援

群馬県高崎市にある障がい者就労支援施設です。
心の病の方が主に利用しています。
安心感と楽しさと仲間同士のつながりの中での回復を一緒に目指していける、そんな場作りを心がけています。
悩みをゆっくり話せる個人相談の時間も大切にしています

 

 

「かすかな光を共にすること」


アリス高崎
ブログ担当 N です


(何年か前に書いて載せた記事を
なんとなく読み返してみたら
なんとなくまた載せたくなったので
なんとなく載せてみます)


先日、色々と、まぁ、事情がありまして、

公の機関のところに出向いて、そちらの職員の人に、
現在の施設の状況と、
施設を利用している人たちの状況、
つまり、精神の障害を持った人たちが置かれている、
不安な日常についてを、

お伝えさせてもらいに行かなければならない機会がありまして、
お伝えさせていただきました。

公の機関の職員の人は丁寧に紳士的に話を聞いてくださりました。


その話の中で、公の機関の職員の人から、ある1つの質問が出ました


「そうした不安や恐怖感で、状態を悪くしている人たちの状況はいつまで続くと思いますか?
どのような状況になったら新しい段階に踏み出せると思いますか?」


これは当然出てくる適切な問いだと思いました。

公の機関の職員の人としても、どこの時点で、どのような状況になったら、
そうした不安に怯える心の障害を持つ人たちが、その不安から脱っして、外の世界に繋がれるようになるかという目安を確認してくれているわけです。


これは行政に関わる人として実に適切な質問だと思いました。



僕は言いました。



「 そこなんですよね。
いつまで今の苦悩や不安が続くのかわからないという、そこが問題だと思うんです。

つまり
『終わりがわからない』
ということが最大の不安の要因なんだと思います。

これは精神の障害を持つ人であってもなくても、私たち共通の人間心理として、
その不安や恐怖や苦しみが、

『ここまで我慢すればなんとかなる』

という目安があれば、何とか耐えられるけど、
人間の不安や恐怖というのは、

『それがいつ終わるか分からない』

ということが、最大の不安や恐怖の原因となると思うんです。

ですから、そうした不安や恐怖の中で一人ぼっちになって、
孤独や孤立感による症状の悪化を防ぐために、今はきちんと連絡を取り合って、つながりの確保をしていく、そういう支援体制が必要だと思うんです。」



などと、そんな話を
おこがましくも、お伝えさせていただきました。






本当に…思うのです…

 

人間の苦しみは、

「その苦しみがいつまで続くのかわからない…

ということが、最大の苦しみの心理要因になると。




人は、人生の絶望的な境地に追い込まれた時、

一番絶望的になる想いは、

「その苦悩がいつ終わるか分からない…

という点ではないかと思うんです。



そしてそれは大抵の場合…
本人にもわからないし、
周りの人も、家族も、支援者も同じようにわからないと思います。



そういう時、安易な励ましの言葉や、ポジティブな前向き思考を促したような言葉を言うと、

その絶望の闇の中にいる人たちの状況と、

その言葉が解離したものとなってしまい、

言われたほうは、どこか空空しく聞こえ

「結局わかってもらえてない…」

という感覚になってしまうことが多いのではないか…と思います。




じゃあそういう時、どうしたらいいか…

周りの人や家族や支援者はどうしたらいいか…





これは僕の個人的な感覚の想いなんですけど、


「いつやってくるかわからない出口の光を、
一緒にすがるような想いで共にすること」



だと思います。


「かすかな希望を一緒に共にしていくこと」




だと思います。






具体的な例えとして言えば

僕は長年、結構重く病気を患ってきましたけど、
本当にその時は、

「いつこの苦しみが終わるのか…」

と、

 
終わりが見えないということが最大の苦しみでした



もうその時は前向きにものを考えることができなくなっていました



いろいろ人たちが励ましの善意から、
もっとポジティブになるように励ましの言葉をくれましたが、

残念ながら…それらの言葉はほとんど僕の心には、もう届かなくなっていました…



結局そうした長い年月の間で

今振り返ってみればの話ですが……結局1番僕の心に寄り添って伝わってきてくれていた言葉は、

当時一緒に暮らしていた、僕の おばあちゃんが、いつも僕に言ってくれていた言葉でした




「よくなるといいねぇ」




おばあちゃんは、僕の顔を見ると、いつもしみじみとそう言ってくれていました。


おばあちゃんは、
そこにある、わずかに残された未来の希望の光を、
その短い言葉の中で、僕と共にしてくれていたのです。



一緒にその光にすがってくれていたのです。






公の機関でのお話が終わった後、
施設に戻ってくると、

1人のもの静かな若い女性メンバーが僕のもとにやってきて、1枚のメモを渡してくれました。


「今、読んでいいの?」


と尋ねると、黙ってコクリとうなずいてくれました


メモを開いて読んでみると


「ジャニーズの亀梨くんに手紙を書いたけど返事が返ってきません」


と書かれていました




亀梨くんは彼女に返事を書いてくれるでしょうか…?


今、手渡された彼女の不安に対して、僕は確約的な何かが与えられるでしょうか…?



僕にできる残されたこと、
そしてまた僕がしなければならない残されたこと、

それは

そこにある

「かすかな希望を共にすること」

です





「亀梨くんから返事があるといいねぇ」




彼女は黙ってまたコクリとうなずきました