「線は僕を描く」

2020年本屋大賞3位の同名小説を映画化。本の感想はこちら。題材としては珍しい水墨画の世界を描いていて、興味深く読みました。それを、横浜流星主演で映画化したと言うので観たいと思っていて、先日動画配信で観ました。

 

天涯孤独になった青年が、たまたま水墨画の巨匠篠田湖山に見いだされて、水墨画の世界に足を踏み入れる若者の成長物語です。湖山の孫で、水墨画家としてすでに活躍しているサラブレットの千瑛に清原果耶、湖山に三浦友和。映画も原作のイメージを壊す事なくよく出来ていました(上から目線で)。

 

「春に散る」の佐藤浩市といい、本作の三浦友和といい、映画をピリリと引き締めるいい俳優になって来ましたね(またまた上から目線で)。そして原作では、湖山の一番弟子として、ちょっとオモロイ脇役くらいだった西濱を演じた江口洋介が、映画では一番おいしいところを持っていったな~という印象でした(笑)

 

「スイートマイホーム」

こちらも 同名のホラー小説を、俳優の斎藤工が監督として映画化して、主演は窪田正孝だし、窪塚洋介も出てるし、みたいと思っていました。ミステリー仕立てのホラー小説と言った方が正解かもしれません。

 

愛する妻と娘のために、最新設備の家を新築した主人公(自分は浮気をしているくせに)。やがて妻が「家の中に誰かいる」「誰かに見られている」と言い出して…。う~ん、多分小説の方が、恐怖感がすごかったのかな~と思いました。もともと映画の製作などの携わって来た斎藤工が なぜこのホラー小説を監督したのか、少々疑問でした。

 

「私の小さなお葬式」

時々映画界では、この手のハートウォーミングな小作品が作られて絶賛されますね。「ミセスハリス、パリへ行く」とか「マルタのやさしい刺繍」などなど。このロシア映画も、その系列の1本と言えるでしょう。

 

ロシアの寒村で ひとりつつましく暮らす元教師のエレーナ。近所の友達とあ~だこ~だと楽しく暮らしています。都会で成功した一人息子が、5年に一度しか帰郷しないことを除けば、何も不平はありません。そんなエレーナが余命いくばくもないと医者に言われた事から、この少々ブラックコメディ調のドタバタが始まります。

 

誰にも迷惑かける事なく、自分の死後のお葬式の段取りをしようと決心するエレーナ。死亡診断書に棺桶、お墓に、葬式後の通夜振る舞いの料理のメニューなどなど。エレーナがあまりに真面目にやればやるほど、逆にそれに寄って起こる騒動がコメディっぽかったり、シュールだったりとついつい魅入ってしまいました。なかなか死なない自分を早く殺してくれと、友達に懇願する下りは、やりすぎかな~と思ったりもしましたが・・・。自分のことで精いっぱいで、親の事など忘れている息子にも、自分のお葬式の段取りにドタバタするエレーナにも 「老後」の二文字が身近に迫っている身としては、どちらの目線にもなりながら映画を観終わりました。