機械じかけの小児病棟 | アリスの映画鑑賞日記

アリスの映画鑑賞日記

見た映画を、毒舌を交えて紹介していく映画ブログ。ホラー映画過多気味ですが、気にしない気にしない。

機械じかけの小児病棟/キャリスタ・フロックハート
¥3,870
Amazon.co.jp

《おはなし》

 代理ミュンヒハウゼン症候群ホラー。

《スタッフ・キャスト》

  監督:ジャウマ・バラゲロ
  出演:キャリスタ・フロックハート(エイミー)
     リチャード・ロクスバーグ
     エレナ・アナヤ

《感想》

 スペインホラー映画界の若き鬼才、ジャウマ・バラゲロ監督のハリウッドデビュー作
 主演は『アリーmyラブ』のキャリスタ・フロックハート。痩せ型で、幸薄そうな彼女がこの映画の雰囲気にピッタリです。
 イギリスのワイト島。老朽化のため閉鎖寸前の小児病棟に、夜勤専門の看護師エイミーがやってくる。赴任早々、病棟の子供たちがみんな何かに怯えた様子なのが気にかかるエイミー。病院では《変わり者》と噂されるマギーから、シャーロットと言う少女の幽霊の存在を聞かされるのだったが・・・。
 エイミーは、かつて自分が眼を離した隙に担当の子供を死なせているため、今度こそ子供達を守って見せるという使命感に燃えて悪霊シャーロットと対峙していきます。この病棟は、親に見離された子供たちが収容されていると言う設定らしく、子供たちの親の存在が一切表に現れません。その代わり、使命感・母性愛に溢れたエイミーが、親代わりになり子供たちを守ろうとします。
 特に美少女(!!)マギーとの、患者と看護師の関係を越えた「絆」が、細かく描かれた人物描写や重ねられた台詞で丁寧に表現されているため、ラストの演出が生かされてくるのです。
 傲慢な悪霊が巣食う死の国から、愛の口づけにより救い出される姫君。伏線も見事です。
 これまでこのブログで、バラゲロ監督作品はほとんど取り扱ってまいりましたが、やはり日常における「闇」の使い方や子供の恐怖感を描かせると、本当に上手い監督さんですね。 
 最近派手なスプラッタばかり見ていたので、久々に想像力をかきたてられる、ゾクゾクさせられるホラーで新鮮でした。血飛沫踊るハリウッドホラーばかり見慣れていると、死人と血を極力押さえ、その分演出や心理描写に重きを置いたバラゲロホラーが少々物足りなく感じられるかもしれませんが、静かに恐怖感を噛み締めるこういうホラー映画も面白いものですよ。
 しかし、まあ誰が付けたんでしょうこの邦題。故キューブリック監督代表作のまんまパクリ。このタイトルだけ見たら、それだけでC級だと思われてしまうじゃないですか。日本におけるバラゲロ監督の知名度は、まだまだ低いと言うのに・・・。大幅にマイナス要素ですよ!!配給はもっとセンスのよい邦題を付けてください。

《私の評価》

   ☆☆☆☆