ホステル | アリスの映画鑑賞日記

アリスの映画鑑賞日記

見た映画を、毒舌を交えて紹介していく映画ブログ。ホラー映画過多気味ですが、気にしない気にしない。

ホステル コレクターズ・エディション 無修正版
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《おはなし》

「無修正版」と聞いて、「ヘア無修正版」と勘違いしていた奴は誰だっ!!(私だっ!)

《スタッフ・キャスト》

  監督:イーライ・ロス
  出演:ジェイ・ヘルナンデス(パクストン)
     デレク・リチャードソン(ジョッシュ)
     エイゾール・グジョンソン(オリー)

《感想》

 バックパッカーをしながらヨーロッパを回っていたジョッシュとパクストンたち。羽目をはずしてドラッグとセックス三昧の毎日。そんなある日、男の求めるあらゆる快楽を満たしてくれる、夢のようなホステルがあると聞き、田舎町に足を伸ばす。豪華な内装、美しくセクシーな同室者。噂どおりの夢心地のひと時を過ごすのだったが・・・。
 あまりのグロ描写になかなか日本での公開が許可されず、ホラーファンの間で待ち望まれていた、イーライ・ロス監督の本作、満を持しての登場デス。
 この映画のコンセプトになったのは、ロス監督が偶然目にした、とあるホームページ。そこにはわずか一万ドルで、人間を射殺できるというアングラなサイトでした。第三国には、生活に困った人々が、安いお金で命を売り渡すことが今でも、秘密裏になされているのです。これを見たロス監督は、後ろ盾のない外国の地で、身一つで安ホテルを渡り歩くバックパッカーたちを主人公に、金を払って人殺しを楽しむ上流階級のエゴイズムを表現することにしたのです。
 私は、メイキングでこの話を聞いたとき、ジョニー・デップ主演の『ブレイブ』と言う映画を思い出しました。この映画は、食うに困ったネイティブ・アメリカンの父親が、家族を養うために、どれほどむごい殺され方をするのか承知の上でスナッフ映画に出演することを決心すると言う、非常に救われない作品です。ホラーではなく、人間ドラマで、かなりダウナーな気分になれる作品ですので、興味ある方は是非。
 前半は、ドラッグとおっぱいがいっぱい、かなりエロエロな内容。後半畳み掛けるように、生々しいゴア描写・むごい拷問シーンが続きます。ぼとりと落ちた指や手のリアルなこと。死体や肉片で溢れる室内では死臭が臭ってきそうな雰囲気。(まあ、実際の撮影では猛暑と悪臭のためかなりスタッフも参っていたようですが)
 まさに酒池肉林を地で行く本作品。タランティーノやピーター・ジャクソンが協力しただけあって、その辺のゴア描写は期待通りの出来上がりでした。
 『キャビン・フィーバー』は、無駄なグロさとリンチ気取りの難解な演出が目立ち、才気ばしったところがとても鼻に付いた作品でしたが、今回はぐっと洗練された演出とストーリー展開。キャラクターを深く掘り下げ、心理描写もしっかり描ききっているため、逃げ切ることが出来たのに、あえてカナを助けに戻るパクストンの気持ちもしっかり伝わってきます。子持ちのオリーでもなく、誠実でまじめなジョッシュでもなく、普通のホラー映画なら、真っ先に死ぬであろうスケベなパクストンが主人公と言うところも、好感が持てるポイントの一つです。
 しかし、あれですね。アメリカ人ってのは、とことん嫌われていますね。アムステルダムでは、アメリカ人ということだけで罵声を浴びせられ、殺人ビジネスでは最高値で取引される。アメリカ人ということだけで、自分が最も優れた民族であると馬鹿な妄想を描いているアメリカの若者達に、是非見てもらいたい映画です。
 ちなみにホステルとは、外国を旅するバックパッカーが安く泊まれるユースホステルのことです。自分探しか、はたまた社会に出ることを恐れているのか、欲望を満たすためか、若者はよく身一つで旅に出ますが、それがどれほど怖い行為か、どれほど凶悪な事件に巻き込まれやすいか、これを見てよく考えてもらいたいものです。
 ストーリー性といい、ショッキング度といい、今年見たホラー映画(とは言ってもあまり見てないけど)の中で一番の作品です。


《私の評価》

    ☆☆☆☆☆