「大好きなサンタさんへ6年目のメリークリスマス」 | 幻想写真作家 七色アリスの幻想劇場

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「大好きなサンタさんへ6年目のメリークリスマス」


大好きな大好きなサンタさん
今年のクリスマスは
僕が君に素敵な愛をこめたプレゼントをしよう



今日は楽しいクリスマス
僕のお家はたくさん兄弟がいるから
毎年毎年大変さ
プレゼントをもらうにもひとくろう

列をつくって順番待ち
その時がたのしくてしかたない

ママは一人ずつほおにキスしながらこういうのさ
「はい今年一年よくがんばりました。
サンタさんから預かったわよ。メリークリスマス」


でもさ
僕のばんになると
いつもいつも
プレゼントがなくなるの

ごめんねサンタさんたら忘れちゃったみたい
来年皆よりもっといいものをもらえるはずよ ママはいつもそう囁く

ごめんねサンタさんたらまた忘れちゃったみたい
来年皆よりもっともっと本当にいいものをもらえるはずよ ママはいつもそう囁く

そういって毎年この悪夢の日がやってくる

きっと僕はこの家の子じゃないんだ

サンタに気に入ってもらえるように
兄弟の何十倍も勉強をがんばってきたのに
また僕はプレゼントをもらえない
ああこの家の子じゃないからなんだね

1年目はどうして僕だけがと泣くことを覚え
2年目にどうして僕だけがと恨むことを覚え
3年目にとうとう虫を殺すと1年を越せるようになり
4年目にとうとう鳥を殺すと1年を越せるようになり
5年目にとうとう猫を殺すと1年を越せるようになり
僕は僕を保って来た

もうサンタさんなんて
きっといないんじゃないかと気付いてしまうくらいに
僕は大きくなりすぎた

もうすぐ6年目のクリスマスが来る

きっと今年もそうなんだろう

ねえママ

今年は僕がサンタさんに愛をこめたプレゼントをしようと思うんだ

6年分の大きな大きな愛のプレゼントを

ママだけに内緒で教えてあげるから
こっちを振り返っちゃダメだよ

永久に内緒
ママだけに教えてあげる



2011「Aliceの幻想劇場」