王女さま | 続・阿蘇の国のアリス
「アリスちゃん、
今日は立ってくれるかな...」


「今日もダメか...」


(もう私、立てないのかな?)


(シャネール)


ビールのようなオシッコをしたら、
街へと出発です。


ママが靴が欲しいのだそうです。

お梅とフー子も後で来ます。


(ママが大好きな鶴屋百貨店だね)


「そう...待っててね」


アリスはやはり王女さまでした。


自分のプライドにかけて、
悲劇のヒロインを演じることは
なかったのです。


いつも変わらず美しく。

心の傷や怒りは、
ていねいに包装紙にくるんで、
あの笑顔で隠してしまう。


「忘年会、まだだったね。
紅蘭亭にしようか?」


※紅蘭亭上通パビリオン店


アリス、
ぼくたちの2017年が
終わろうとしているよ。


いっしょにトイレをし、
いっしょに旅をし、
いっしょに死にそうになった
一年だったね。


ぼくはきみが生きていた証を、
十分に残すことができたかな。


もしも、
ぼくとママの子どもでよかった...
と、思うんだったら...


今夜、
ぼくがきみの目をのぞきこんだとき、
一度だけ、まばたきをしてください。


それだけで、
ぼくは勇気づけられます。

(パチッ)


(ママ、似合うよ)


だってきみは、
ぼくにとって永遠の王女さまなんだから。