たこ焼きパーティの夜 | 続・阿蘇の国のアリス
※明神池


「きたきた...」


「コイ、捕まえてもいい?」


「ダメ、ダメ!」


「あっ、アリスちゃん♪」


「ルナじゃないよ...ローリィでもないよ」


この日は11月29日でした。


「今日は肉の日だよ♪」


「は~い♪」






「アリスのミンチ300グラムください」


「ぼくたちはたこ焼きにしよう!」






「ねえパパ、みんなも呼んで...」

「うん、いいよ」


あたりはすっかり暗くなっていました。


「8人で11パックください!」


たこ焼きパーティの始まりです。


「ねえパパ、さっき、
おじさんが言っていたのは本当なの?

ペットショップの犬はダメだって。

すぐに病気にかかってしまうって。

だから、私はこうなっちゃったの?」

パパは黙りこんでしまいました。


私は悪いこたえがわかっているのに、
待ちきれずに言いました。

「私は不幸のもとに生まれたんだ。

これ以上、パパは私に
かかわらないほうがいいよ!

そうでないと、
パパにも悪いことが起こる」


パパはにぎった手に力をこめました。

「ぼくのほうはすごく運がいいから、
だいじょうぶ。

ふたりの分を足して、半分にしたら
普通の人なみの幸運になるよ。

さあ、いいから、ミンチたべよう」


家族や友達をつぎつぎと
頭のなかに浮かべてみました。

誰もがその日を生き延びることに
必死なようでした。

輝くように幸福な人間、
百パーセント幸せな人間など、
ひとりも思い浮かびませんでした。


「わたしね、
アリスママがいちばんだいすき♪」

「わたしも、ホーちゃんが大好き♪」


「それとね、アリスパパもだいすき!」