最期の光 | 続・阿蘇の国のアリス
森のなかでオシッコをした、
翌日。


再び、
オシッコに連れ出されました。

「アリスちゃん、
今日はオシッコできるかな」


「パパ、ごめん...無理」


そのまま、三人で
「ボワ・ジョリ」さんに
ランチにいきました。


「アリスちゃん、きた♪」


「ピクニックランチ、2つ...」




「ムーちゃん、そろそろ、
リーちゃんのそばにいくね」


「アリス...」


「もう、水も飲めないし、
ご飯もはいらないの」


「アリスちゃん、しっかり...グスン」


「リーちゃん、アリスちゃんを
連れていかないで」


「アリスと、また来ます」


パパとママは、
ご飯が入らなくなった私のために、
街まで馬刺しを買いにいきました。


パパとふたりで、
夜明けの空に目をやった。

消えていく星たちを見た。


光の粒がまぶしい空に
溶けていこうとしている。

このまま、
私の命の最期の光も
星と一緒に消えてしまうのだろうか。


あきらめがつかないうちに、
パパは私の肩を抱いていっていた。

「ぼくが守るから」






「300グラムください」




「アリスちゃん、たべてくれるかな」


「ぼくがたべさせる」


「たべたくないの...」


「だめ、たべるの」


「ゴクン...」


「もっとたべなさい」


パパはあきれるほど強くてタフだった。

決して泣き言はいわなかった。

だから私も
家族と最後に暮らした日々を
明るく語ろうと思う。


「つぎはもっと高い馬刺しにして」