星のしずく | 続・阿蘇の国のアリス
夜の空。

つめたい風。

正視できないほどの
まぶしい星の群れ。

ここはどこだろう。

私は森のなかの空き地に
ゆっくりと降下していった。

「だいじょうぶかな」

誰かが優しい声で尋ねた。

「うん」

返事は勝手にこぼれた。

「どうかな、アリス...、歩けるかな」

私の横に心配そうにパパが立っていた。

私は力を振り絞って右足を踏みだした。

「おりこうさん、アリスちゃん。
がんばろうね。
がんばって、オシッコしようね」

背後からママの声が聞こえた。

そうだ、
もっと歩いてオシッコをするんだ。

それで、
これからもたくさん笑って、
おいしいものをたべて、
パパとママといっしょに
いい旅をするんだ。

私は自分に語りかけていた。

希望がもてるあいだは、
それがどんな希望だろうと、
しっかりとしがみつくといい。

地面を確かめると
私はオシッコで手紙を書いた。

ママ、パパ、愛しています、と。

視線と同じ高さに
ゆがんだ自然が浮かんでいた。

再び一時間ほどに感じられる
完全な空白がやってきた。

意識を取り戻した私は
リビングルームの酵素に横たわり、
パパを見つめていた。


私も、パパも、頬は涙で濡れていた。