鼻孔拡張テープ | 続・阿蘇の国のアリス
8月31日。

今日の私は、ママに
オシッコを手伝ってもらいました。

途中でパパがバテてしまったのです。


それから峠を越えて、
アリス号を車屋さんにもっていきました。


なんやらかんやら、
警告ランプが点灯したのです。





「病気の子供を抱えています。
まけてください」


パパとママの昼食は「山賊」さんでした。


パパは食欲不振だけど...


ママは食欲旺盛です。


会社に寄ると、
小学生が何人かいました。

「ゆいちゃん」


「りんかちゃん」


「...?」


「なんだ、ママか...」


夏の終わり、秋の初め、
確実に日が暮れるのが
早くなってきています。


秋は空気も澄んでくるから、
ちょっと山の中に行けば、
満天の星が眺められます。


ジージー、ミンミン
これが最後と鳴いていた
連中が鳴き止んで、
そのまま地面に住む人たち...


コオロギ、松虫、秋の虫たちの
涼やかな声に移行する瞬間
というのがあって、
それが面白く、
この時期のこの時刻、
私は耳を凝らします。


しかし、今の私には
その声を聞くことができません。


頼りにしていた左目も、
だんだんとかすんできました。

夜寝ている時、
左目は開いたまま...
閉じることができなくなりました。

いよいよ、
脳腫瘍が大きくなってきたのかな。


手を伸ばせば届く距離なのに、
パパは遥か彼方にいる...。

大きな川の対岸に声をかけているよう。


「これで、ゆっくりおやすみ。
明日は病院に行こうね」

パパが涙を流していました。

私のせいで落とした涙は
私の眼に入りました。

私の涙と一緒に流れているのが
ただうれしいのです。