アリスの病院とうなぎ屋 | 続・阿蘇の国のアリス
「ヤキトリ、おはよう。
いつもどこで寝てるの?」


「教えない」


私の体調が
良いのを見計らって、
パパは急遽、
かかりつけの動物病院で、
私を診てもらうことにしました。

「アリス、がんばろうね」


二カ月振りの病院です。


先月は、
私の体調が悪かったので、
一カ月分の薬を
送ってもらいました。


「クン、クン。めいちゃんもきてる」


「アリスちゃん、どうぞ~」

「痛くしないでね...」


「さっき、駐車場を
走っているのを見ました。
とても元気で素晴らしいですね。
こんなに回復するなんて
信じられません。
本当に強い仔です」

病院の人々は、
私の回復に驚嘆しているようです。


「うちの仔にも会ってください!」

診察が終わり、薬をもらうと、
先生からいわれました。


「ラブラドール・レトリバーの
ホタテ。三カ月です」


「そう、かわいいね」


「好き」


本当はパパも、
ホタテちゃんを思いっきり
抱きしめたかったのですが、
「今は、アリスだけ」
そういって我慢しました。


そして私にご褒美を
買ってくれました。




それから二人は、
恒例になっている、
うなぎ屋さんにいきました。


今日は、いきつけの
「うなぎの徳永」さんではなく、
「若松屋」さんにいきました。


ジュジュかあさんと来た時は、
定休日で閉まっていましたが、
今日は開いています。


今からおよそ160年前、
江戸・安政の時代に創業の、
「七代目 若松屋」さん。


肥後象嵌(ぞうがん)と並んで、
熊本にたった一軒の、
古い伝統を誇るうなぎの老舗です。








「口の中で、とろけるような秘伝の味です」


「また、泣いてるの?」


アリスはぼくのために
生まれてきて...


ぼくのために生きる。


本当に、ありがとう。

「パクッ」