僕はこの2年の内に、
奇跡を2度
見たような気がします。
しかもそれは、
最も身近な人間妻と犬娘が
起こしたものでした。
人間妻は、
去年の2月に
肺がんステージⅣ期を
告げられましたが、
犬娘と旅を続けるうちに
CT画像から
がんを消してしまいました。
犬娘はというと、
原因不明の病気で、
生死をさまよったあげく
奇跡的に回復しています。
「世の中にはドラマのような
話があるんですね」
人間妻と犬娘を見た人は、
そう言って目をまるくします。
みんなが気にかけてくれているのです。
絶望の淵から、
長く苦しい旅を経て辿り着いた、
明るく、あたたかな草原。
二人の幸福感が胸にしみます。
そうなると僕は、
何が幸せの種で、
何が不幸の種なのか
全くわからなくなってきました。