年内のアポが全て終わり、昼過ぎくらいから用事がてら出かけ、そのまま山の家へ山の反対側を通って行こうとかなりの遠回りをしていたら、先日行こうとしてたどり着けなかった遺跡の村Sydmaの看板を見つけ、急遽そちらへとハンドルを切る。
「あれ、こんなに山道登るんだったかな・・・間違ってるんじゃない・・・?」
と言いながらたどり着いたこの村は、リキヤ文明時代の遺跡の中にある村で、何と村の建物の所々に遺跡の石材(柱やその他の石材)が使われているという、何ともすごい村なのです。
アンカラ城の城壁やモスクにも、ローマ遺跡の石材が使ってあったり、エフェソスのアルテミス宮殿が崩れた後の石材も、当時のコンスタンチノープルの首都であったイスタンブールまで運んでアヤソフィアを建立するために使われたというような歴史を振り返ってみると、この流れは至極当たり前のことなのかもしれない。
そんなこの村を訪れたのは4年半ぶり。
村の入り口の家に住むこの村の世話役の奥さんが、そこの小川(と言っても干上がっている)を辿っていきなさい・・・と教えてくれる。
入っていくとすぐに見覚えのある墓と民家。
そしてその奥へと進んでいくとおばあちゃんの住んでいる民家のすぐ横に、何と石でできた門が立っていた。門の形だけが残っていて、壁も何もない。
円形劇場があったのはどこかな・・・と探す相方。
水のない小川の手前の地面をふとみると、ハート型の石が!
先日行ったここからちょっとはなれたところにあるリキアの他の遺跡プナラにアメリカ人の友人が連れて行ってくれて初めて見たハートの柱。
こんな時代にハートの形を既に使っていた(しかも建物に)ということにも驚く。
石垣から小川に降りて歩いていくと、丸い柱石やどこかの建物の飾りだったような何か(ライオン?)の頭のようなものが刻まれている石が埋もれている。
現在は村人たちの耕作地となっている平地の向こうに石のお墓が見える。見上げると大きな樫の木。
その隣の農地にもいくつか建物の遺跡が点在していて、なんとシュメールの家紋があったのには驚いた。その両側にはライオンの頭。
これはさっき小川の中に埋もれていた石材と同じモチーフかもしれない・・・。
既に夕方6時に近かったので、駐車したところのこちら側だけをささっと見て、残りは次回に・・・と帰途につこうとすると、さっき道を教えてくれたおばちゃんが声をかけてくる。
「今ローレル油を作ってるんだけど見るかい?」
聞けば昨日からまる2日、ローレルの実を茹でて油を抽出しているのだとか。
(実はわたしは初めてここにきた4年半前に、このおばちゃんからローレルオイルを買ったことがあるのだけど、幸いおばちゃんは覚えていなかった)
この辺りにはローレルが自生しているのか、遺跡の間からもたくさん生えてきていた。アンコールワットもそうやって植物の中に埋まって行ったんだろう・・・。
ものすごく強い香りのローレル。
おばちゃんはお茶を飲んでいくかい?と言ってくれたけど、お腹が空いていて、時間も遅いからまた今度と言って車で帰っていたら、ちょっと待って・・・といってその辺に収穫しておいておいたらしいみかんを2つと名刺をくれた。
このおばちゃんの旦那さんの旦那さんの名刺。ムフタルという村長みたいなもの?の名刺。
実は4年半前に来た時、今度旦那さんがムフタルになると嬉しそうに話していたのを思い出す。まだ続いているんだな・・・。
おばちゃんにお礼を言って村を出ると、冬のピンクがかったパステルな夕やけ空に浮かび上がる雪を被った山々が見える・・・。
遅くなってしまったので山の家へと向かう方へ進むのはやめ、元来た道を戻って、この辺ではピカイチのお肉を食べさせるお店へと車を走らせる。
この店に来るのも久しぶり。相方はもしかしたら初めて・・・?
(実は4年くらい前に行ったことがあるらしい)
実はここの息子がやっている店がフェティエ市内にあって、そこは店の作りもラグジュアリーでお酒も飲めるので、いつも店の前にはポルシェとかビーエムとか高級車が停まっていて、大繁盛しているのだけれど、高くて味はイマイチ。この前行った友人は、いろいろ食べたけど何一つ食べられなくてサラダすら不味くて、食べたのはサラダの玉ねぎをつまんだくらい・・・でお勘定はなんと15000円も来た!と言っていたくらい。オーナーもめっちゃ傲慢でうちの相方は嫌っているので、ここに入るのもちょっと嫌そうだったのだった。
KASAP(肉屋)と書いてある店に入ると広ーい店内はがら空き。今日は年末最後の週末、金曜日で年末年始に向けて皆いろいろと忙しいのかもしれない。元祖であるこの店のつくりは至って普通・・・というか長年ずっとそのままでやってきたんだろう、田舎の肉屋のロカンタ(食堂)と言った感じ。店員も至って普通。気取ったところもなく普通のその辺の店員という感じ。話し方は丁寧だし、シンプルで誠意のある対応。
メニューらしきものはなく、何があるかを聞いて、チキンスープと子羊のレバー炒め、子羊のタンドゥールをオーダーする。
程なくして運ばれてきたスープ。
・・・美味しい
そしてタンドゥールに・・・
レバー。
タンドゥールはホロリと柔らかく、脂はとろりと甘くて脂っこさなど微塵も感じさせない。
コレコレ・・・
実は4年前に呼吸セラピーのワークショップをした時、参加のために日本から来た3人を連れてきて一緒に食べた時、あまりの美味しさにみんなが笑い出したくらい美味しかったタンドゥールは、「本当に美味しい肉ってどんなもの・・・?」という日本人の概念を覆してくれる、とんでもなく美味なもの。
肉があまり得意ではない私。うちでは健康上の理由から子羊しか買わないし、いつも美味しいと思いつつも、ここまで一身に食べてしまうような美味しいお肉は本当にきっと、4年前ここにきて同じ料理を食べて以来で、すっかりその美味しさを忘れてしまっていた。
本当にうっとりする・・・と言っても言い過ぎでないくらい。
身体の奥底から幸せが湧き上がってくるような感じ。
レバーも全く臭みもなく、滋養を感じる美味しさ。
その美味しさは、左脳を超えていて、もう、すごい・・・美味しい・・・という言葉が、身体のどこからだろう・・・肚から・・・?奥底から・・・?感覚として湧き上がってくるというか・・・左脳はすっかり麻痺状態。
食べ終わっても身体がうっとりとしている・・・それは家に着くまで続いた・・・笑
しかもご飯食べてる時に、今はプーケットに移住した日本人の友人からビデオコール。犬をプーケットに連れていくためにトルコに来ているので、明日遊びに来る予定だったけど、予定が狂って来られなくなったとのこと。残念だけど、年が明けてから時間がまだあれば絶対来てね!と電話を切ったのだった。彼女は本当にいろいろありながらもありえない奇跡のような再会を果たしたり、ときおりこうやって人生がクロスする、なんか家族よりも家族のように感じる大切な人。
そんなこともあったりして、
全ての用事が終わった年末、思いもかけず心も体も大満足した1日。
一気に幸福度がアップ!
感謝という言葉しか思い浮かばないくらい、満たされ切っている感じ。
実は一昨日ちょっと相方と険悪になったりしていたんだけど、そんなフラストレーションも完全に吹っ飛んで・・・
今年一年を走ってきたから、いろんなことが精算されてご褒美をもらったのかもしれない。
本当にありがたくて、ありがたくて・・・
冬至ちょっと前までの重さもぶっ飛んでしまった年末のはじまり・・・。