パリに戻る頃が来たようです
。
席は窓側。さて、私のシートナンバーを見ると…
お隣はスキンヘッドの、いかつい革ジャンパーを着たピアスたっぷりの男性。
ちょっと怖いかも…![]()
両腕にはりめぐらされたタトゥの見事なこと。
おそるおそる自分の席が窓側であることを告げると快く席を立って私を招き入れてくれました。
パリまでの二時間、あまり隣は見ないように読書したり車窓の景色を逆方向で楽しんだりしてました。
エディンバラ、グラスゴーからロンドン、そしてパリ、レンヌと行程を進んでブレスト、サンマロと荷物も順調に増えています。
リュックも既にパンパン
。
ゲラントの塩にシードルに、食器にランビックに、キャラメルに、あ、食に関わるものばかりか。これが意外に重い!
モンパルナスの駅に近づくと、エッフェル塔が遠くからお帰りなさい!と出迎えてくれました。
そして現実。重~い荷物の山
。
ため息つきながら席を立ち荷物を取ろうとすると、隣の男性が「君の荷物はどれとどれだ?」と尋ねてくれました。
まさか、そんな強面の人が…咄嗟のことで、キョトンとしてしまいました
。
あのバゲージラックのキャリーケースと上の棚のリュックだと伝えるとなんとバゲージラックまで取りに行ってくれるではないですか。
そして棚のリュックを取って、「まずこれから担いで、こっちは見てるから。」というとリュックを担ぐ手助けまでしてくれます。
なんとお礼をいえばいいのか…
旅先の親切って本当に身にしみるものです
。
そしてその気なしに人を先入観で判断してしまっている自分を反省することしきり。
でも人は見かけや肌の色では絶対に判断してはいけないのです。
そんなものは人の心がけの前には、もしかしたら何の意味もなさないものだから。
これは旅をしていると自然に体得していく感覚です。
日常で忘れがちになる事にふとした瞬間に気づかされるのも旅の大切な機能の一つ。
列車から降り、下車すると「メトロ?タクシー?どこまで行く?」と矢継ぎ早に聞いてきてくれました。
宿はモンパルナスから徒歩ですぐの場所に手配してありましたので、ここまでお世話になって大助かりです。
そう伝えると、「他に何か助けがいることはある?」と聞かれたのでお礼をいうと、「じゃあ、良い旅を!」とホームを足早に過ぎていきました。
モンパルナスを思い返すとき、私はまた必ず彼の後姿を鮮やかに思い出すでしょう
。
旅の記憶を暖かにしてくれたワンシーンでした。
沈みそうな人を見かけたら、心をかけて少しでも言葉を発してみる。
自分の心を「かけて」みる。
明日になれば、かけた相手はそんなことを忘れてしまう。
でも心ある言葉をかけられた相手は、それを一生心に抱き続ける。
人間というのは本当に不思議なもの
。
自分がしたことはいつまでも覚えていないで、自分にしてもらったことはいつまででも忘れないように。
これまで出会った多くの人から教えられた、人生を生きるヒントです。








