読書感想(225)「神無き月十番目の夜◆飯嶋和一」神無き月十番目の夜 飯嶋和一著 小学館文庫 2021.4.22読了 ☆☆☆☆ 江戸時代初頭、年貢を巡る諍いがもとで、水戸藩の軍勢が小生瀬村の村民を皆殺しにしたという「生瀬一揆」を題材とした小説。賢く人望ある長(おさ)がいる豊かな村を全滅に至らしめたのは、浅はかな若者たちの暴走が原因だった…。歴史的には定かでない部分も多いこの惨事の細部を、丹念に肉付けした物語はリアリティー抜群。話の筋としてはあまり好みではないものの、それを補って余りある読み応え充分の作品です。