【6月30日(土)】
レストランbe月例のマリアージュ企画、6月のテーマは食材ではなく“ロワール地方の料理”。どんな料理をどうアレンジするのか、これは想像もつかんな。
メニューを見ると、ひと品目がタルト・タタンになってる。ん?、最初からデザートか?と、ちょっと不安になったりして(笑)。
そのひと品目がこれ。真ん中は、ブランデーに漬けて低温調理したフォワグラのテリーヌ。その下はポルト酒で煮たリンゴ。それらにキャラメリゼされたナッツのソースを合わせる。これがタルト・タタンかどうかはともかく(笑)、ほのかな甘さは邪魔にならず、しっとりザクザクの食感も楽しい。ワインはシュナンブランのスパークリング“ドメーヌ・ヴァンサン・カレム・ヴーヴレ・キュヴェ 2014”。ドライな泡でスッキリさせて、デザート化を回避したところはお見事。
2品目はブール・ナンテ。ナンテ風クリームソースということらしい。白身のグリルに見えるのは、ホタテのムースとオマールをキスで挟んで蒸して焼いたもの。魚+クリームソースの引締め役が下に敷いたフルーツトマトのマリネ。全体をうまくまとめてます。合せたワインは“ドメーヌ・ド・テール・ブランシュ・アルシミー 2015”。ソースに入ってるエストラゴン(ペルノーの香りみたいなやつ)とソーヴィニヨンブランの相性の良さは意外でした。
そしてメインはマトロート(赤ワイン煮込み)。何を煮込んだかというと、なんとアナゴ。内陸のロワールにアナゴがいるとは思えないが(笑)、そこは広島風にアレンジということかな。ソースはバルサミコベースの酸味バージョンと、赤ワインを煮詰めたコクバージョンの2種類。じっくりローストされた野菜もすばらしい存在感で、しっかり食べ応えのあるひと品でした。ワインは“ドメーヌ・メリオー・トゥレーヌ・サン・ヴィザージュ 2014”。パワフルなアナゴの煮込みには、これくらいじゃないと太刀打ちできない。それでも、濃厚マルベックがさっぱり感じるくらいでした。
そもそもロワール料理というのに馴染みがないので、オリジナルをどうアレンジしたのか分からないところもあったけど、それでもシェフの創意工夫と試行錯誤は十分伝わってきました。その結果の、完成度の高い料理と絶妙にマリアージュされたワインには、ただただ感動するしかありません。