なにやら馴染みないインドネシアのコミックが原作のヒーロー映画とあって気になって、映画館で観ました。
『スリ・アシィ』
インド映画や台湾映画と、アジア諸国の映画は日本でも普通に流通しているので、ここにインドネシア映画が来てもそれ自体は何ら不思議ではありません。
しかしインドネシアのコミック原作となればいよいよ日本人には馴染みないでしょう。
そのインドネシアのヒーロー映画をあのマーベルコミックを原作にした作品群であるMCUのようなユニバース作品にしていく企画とのことで、この『スリ・アシィ』に始まり、今後複数の作品で展開していくのでしょう。
そして本作を観た感想はというと、思ったよりMCUを意識しているなということです。
何せあのオープニングが!
パクりと言えばパクりですが、アメリカにスパイダーマンやアイアンマンといったコミック作品があるように、インドネシアにもおもしろいコミック作品があるのをアピールしていこうという意気込みが伝わります。
とはいえ、インドネシア映画のスタッフやキャストも知らないし原作も知らない者としてはいろんな先入観もない状態からの鑑賞となります。
その視点で観た感想としては、シンプルにおもしろいというところです。
その強靭さで弱者を守る正義感ある女性が華麗なアクションで戦う様は、DCのワンダーウーマンに近いものを感じます。
フェミニズムやポリコレのしつこいまでの思想の押し付けはなく、ただ生まれ持った能力で悪と戦うナチュラルなヒーロー感が観ていて気持ちいいんですね。
凡庸と言えばそうとも言えますか、ヒーロー像ってむしろこういうのが良いではないかとも思います。
公営住宅に住む人々を脅して追い出そうとする権力者がいたり、その権力者から金を受け取るために警察がコントロールされてしまったりといった設定は、インドネシアでは実際に起きていることなのでしょうか?
その辺りはインドネシアのお国の事情をよく知らないとわかりませんが、ストーリーは難しくはありません。
さらにはVFXがハリウッドと遜色ないです。
もっと言えば、人間離れしたアクションや現実離れした現象を描くためにCGを使っているものの、そこまで派手ではないので、けっこうアナログ演出にも見えます。
そういう点では、実写と言いつつほとんどCGアニメになってしまっているハリウッド映画よりは自然に馴染みやすいかもしれません。
主人公が格闘家であるという設定で、人間らしい格闘シーンがあったりなのですが、これまた観ていて気持ちいいですね。
やっぱり人間らしさの範疇で見せているアクションシーンは良いものです。
そのせいか前半はヒーロー映画というよりは、悪の組織とそれに支配されてる警察やメディアを描いた人間ドラマ色が強いですが、大丈夫です。
後半からは強くて美しい格闘家の主人公が、能力を開花させてこれまた強くて美しいヒーローになり戦うアクションでしっかり盛り上げてくれます。
MCUやDCEUを見ていてもわかるように、ユニバース映画にしてしまうことが必ずしも良いとは限りませんが、あのエンドクレジットに挟んだシーンからして、本作はやはりこの1作品で終わらないでしょう。
ここは曇りない目線で期待したいところです。
【追記】後になって本作がすでにシリーズ第2段であることを私は知りました。
第1段としてこんな作品があるのですね!
『グンダラ ライズ・オブ・ヒーロー』
チェックしたらまた記事にしたいと思います。