アル☆ケミー 英語教室のブログ -7ページ目

★小説『イパネマの猫』-その2-★

★イパネマの猫★

<その2>

 

数日後、

カヨはコミュニティーセンターの

カラオケ教室の帰りにイネと会う。

例の噂を聞いてから初めてだった

ので何と声をかけるべきか

戸惑っていると・・・

 

「あら、こんにちは大場さん。

今日はちょっと寒いわね~」

 

「そ、そ、そうね。イネさん。

あ、あ、あのなんか大変だった

みたいね・・

何て言えばいいんだか・・・」

 

「あ~、あのことね。

本当に私が馬鹿だったのね。

う~ん」

 

「ごめんなさいね。

嫌なこと思い出させて・・・」

 

「いいのよ。気にしないでね。

あっ、そうだわ。

うちに寄ってお茶でも

飲んでかない?」

 

「えっ?い、い・・・いいわよ」

 

「いえね、ちょっと話がるのよ。

カヨちゃんも気をつけた方が

いいしね。

ねっ、ねっ、来てちょうだい」

 

カヨは拉致されるかのように

腕を引っ張られて

イネの家へ連れていかれ、

詐欺対策講座を受ける

こととなった。

 

数週間後、

縁がないものだと思っていたが、

カヨに電話がかかってきた。

 

息子の太郎だと言ってるわ。

これが噂に聞く

『母さん助けてオレオレなりすまし詐欺』

かしら?

あれ?

本当の息子かしら?

「あ、あ、あなた声が変だけど・・

そ、そうだわ。

オ、オ、オープン?」

 

「へっ、え~と、セサミ!

ちょっと今風邪気味でね。

親父さんは元気?

いや、元気ならいいんだ。

そいで携帯の番号が変わったから

登録し直してくれる?

え~と、いい?・・・」

 

イネが教えてくれた通りだわ、

と思った。

その日、電話はそれだけだった。

(つづく)

 

 

自作の曲です。

よかったら聴いてください。

 

ありがとうございます

あなたに雪崩のように

良いことが降って

きますように❣

 

 

 

 

★小説『イパネマの猫』-その1-★

ありがとうございます。

     机の隅で10年程前に書いたおバカな小説を

見つけたので載せちゃいます。

 よろしかったらお読みください。

 

 

    ★イパネマの猫★

   <その1>

 

     「ねぇ、ねぇ、大変なのよ、横町のイネさん、ひっかかったみたいよ」

         

     何が大変なんだか。

興奮しきって妻のカヨ(73歳A型乙女座)は

    買い物から帰ってくるなり冷蔵庫の前に

マイバッグを置き、

  居間のテレビの前にいた夫、

虎五郎(77歳O型獅子座)に話しかける。

     虎五郎は認知症予防のため椅子に座って

膝の曲げ伸ばしをしながら

  100から7づつ引いて行く計算をしていた。

         

    「なんだなんだよ、う~ん、セブンティ・ナイン!

     落語じゃあるまいし、横町の誰だって?」

         

        「あの三丁目に住んでる河合さんの奥さんよ!

あれよ、あれなの・・・」

 

       夫は認知症と戦う為デュアルタスクに忙しく、

まったく興味なさそうだ。

      「ええと、シクスティ・ファイブで、

で、その河合さんがどうしたって?」

 

      「あれよ、あれ。“オレオレ”じゃなくて、

“振り込み”でもなくて、

       “みずすまし詐欺”とかいったかしら?」

 

      「ばーか、そりゃぁ、“なりすまし詐欺”だろ。

      今じゃ、“母さん助けて詐欺”とか、

いろいろあるけどな。

 え~と、フィフティ・・・

   え~と、フィフフィフ・・・」

 

      「そうそう、そのなんとか詐欺にやられたらしいの」

 

 「へ~、そりゃあ大変だ。

で、いくら取られたんだ?」

 

   虎五郎は計算するのをあきらめて、

今度は妻の方を向いて尋ねる。

 

    「なんと一千万円だって。大変よね~」

 

  「ひょえ~、そりゃ大変だ。

       で、何でまたそんな大金を渡しちまったんだ」

 

   「それがね、なんでも息子さん、

名古屋に住んでるんだけど、

   その息子さんから電話もらって、

会社の小切手失くして

  至急お金を用立ててくれとか

なんとか・・・」

 

      「へ~、それで渡してしまったのか?」

 

      「会社の上司と名乗る人にね・・・」

 

      「本当かい?テレビでよくやってるけど

       そんなもんに本当に引っ掛かるんだな。

ふ~ん」

 

  「そうなの、あの河合さんって

昔はすごくしっかりしてたんだけど、

       うちの太郎が中学の時PTAの役員やったりして・・」

 

「そうか。いいか、お前、

くれぐれも気をつけろよ。

   ウチにかかってくる電話なんて、

墓地だとか投資の営業とか、

 あとは詐欺だけ・・・

       ほれ、西武新宿線の駅で都立家政の次なんだっけ?

    さっさっ・・・えぇと?」

 

      「ひょっとして、鷺ノ宮って言いたいの?」

 

      「そうそう、サギノミヤ!

       オンリィ・サギなんだから、世間てものは。

       お前は特に、スペシャルに注意してくれよ。

       リアリィに本当に気をつけてくれって

俺は言いたいのよね」

 

  「な、ななななな何よ。

わたしは絶対に大丈夫ですから!」

 

「何言ってんだか。

お前、訳の分かんない健康食品だとか、

  化粧品だとか、今までさんざん

買わされただろ!

本当にとろいんだから、

   トロイの老婆ってくらい・・・」

 

「きーっ!なによ!

あんたなんか変な女に

引っ掛ったくせに!」

 

「何十年前の話だ!

あれは、ちょっとしたアクシデントだ。

    俺は昔、やたらと女にもてたから

仕方ねえじゃねえか!」

 

「何がもてたよ。

 若い女にコロっと騙されて・・・

    もーっ、どんだけ貢いだことか!」

 

   虎五郎は新聞をつかみ取ると、

 そそくさと自分の部屋へ入っていった。

     カヨはテレビの相撲中継をつけてお茶をいれる。

                (つづく)

 

 

自作の曲です。

    よかったら聴いてください。

 

 

         

 

        ありがとうございます

      あなたに雪崩のように

           良いことがたくさん降ってきますように❣

 

 

 

 

 

 

★駄洒落英単語 massacre ★

お暑う御座います❣

ありがとうございます。

8月は原爆の日や終戦記念日があり、

「戦争」に関する話をよく見聞きします。

中でも印象に残ったものは

美輪明宏さんの

「『戦争』という言葉を正当化できないように

『大量殺人』と言うべきです」

というものです。

確かに「大量殺人」ならどんな指導者も

正当化することなどできません。

 

そんな訳で今回のダジャレ英単語は

「お、親方!

あっちの国で沢山の人が殺されたって、

ほ、ほんとですか?」

「ああ、そうみたいだな。

マサカ大虐殺があったようだ」

「マ、マ、マサカ!」

 

★massacre (名)「(人・動物の)大量虐殺」

(他)「~を大虐殺する」

 

 

この時期になると、

水木しげる先生の「総員玉砕せよ!」と

「昭和史」を読み返すようにしています。

(中学・高校の副読本にすべき漫画です)

そして亡き母のアルバムをパラパラめくり、

昭和19年に満州で戦死した伯父さんの

絵や手紙を見て、

伯父さんが生きて帰ってきてたら

漫画なんか描いていたかな

と思ったりします。

 

自作の曲です。

よかったら聴いてください。

 

             

                      

     ありがとうございます。

あなたに雪崩のように幸運が降ってきますように❣