アル☆ケミー 英語教室のブログ
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英単語を1語ずつ、面白く??ご紹介します(‐^▽^‐)

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★小説『最後の鬼ごっこ』ー最終回ー★

当ブログに寄って頂き

ありがとうございます。

 

 

年明け早々

災害や事故があり、

亡くなられた方々に

お悔み申し上げます。

被災された方々に

お見舞い申し上げます。

 

本当にいつ何が

起こるか分かりません。

一瞬一瞬に感謝して

生きていきたい

と思います。

 

 

徘徊する認知症の母を

捜索する物語です。

 

 

★『最後の鬼ごっこ』★

<最終話>

 

それからも

母との「鬼ごっこ」は

繰り返された。

 

その年の夏、

梅雨明け宣言が出された日、

 

母の部屋で私は

母の保険証や

後期高齢者医療限度適用・

標準負担額減額認定証って

やつを探していた。

 

前日の夜に

自宅から十キロ程離れた

世田谷区の路上で母は転んだ。

 

倒れているところを

通行人に見つけられて

救急車で近くの医療センターに

搬送された。

 

頭部外傷、

左顔面打撲により

頬骨、上顎骨、左肘を

骨折した。

 

そのまま

医療センターに入院する

こととなった。

 

それで私は母の部屋で

必要な書類を探していた。

 

GPS発信器が入れてある

お守り袋は、

本棚に飾ってあるキリストの絵

の隣に置かれていた。

 

お守り袋から

GPS発信器を取り出して

眺めながら、

「ご苦労様。ありがとう」

と、声をかけた。

 

この時、

「鬼ごっこ」が終わった

ことが分かった。

 

 

母はもう一人では暮らすことは

できなくなった。

医師の話では

最低一か月は入院することに

なるということだ。

 

退院した後は

老人介護施設に

入ることになる。

 

 

押し入れの中で

漆塗りの黒い木箱を見つけた。

ここにあるかなと開けてみる。

 

後期高齢者医療被保険者証を

見つける。

 

箱には他に手紙の束や写真が

入っていた。

 

母が子供や孫たちと一緒に

写っている写真の他に、

色褪せた古い写真が

混じっている。

 

ずいぶん前に亡くなった祖母、

会ったこともない祖父、

母が結婚前に住んでいた

秋田の実家で撮った家族の

写真もある。

 

 

写真をパラパラと見ている時、

「あっ」と声をあげた。

 

軍刀を体の前に杖のように

立て一人で写っている

兵隊の写真。

 

戦争で亡くなったと聞いていた

伯父さんの写真だ。

裏に、

「兄、宗博、

昭和十九年九月十九日戦死」

と母の字で書いてある。

 

箱に一緒に入っていた

手紙や葉書には

「軍事郵便」とあり

差出人住所は

「北支派遣勝第四二一四

部隊小野隊」

となっている。

 

満州で戦死した伯父さんから

母に宛てたものだ。

 

こ、こ、この写真!

この、この、この顔!

似ている!

 

調布で徘徊する母を捜していた

時に出逢った若者に!

ちょっと偉そうなと思った

あの若者に!

 

あの時やはり母の居る場所

を教えてくれたのか?

 

母の居所を教えてくれて、

そして私に自転車で転ばぬよう

注意してくれたのか?

 

そんなことが?

まさか?

ありえない?

 

他人の空似だろう。

そう、ただ似ていただけ

・・・のことだ。

 

 

少し動揺して、

他の写真をめくっていると

これも昭和初期に撮られたと

思われる色褪せたのがもう一枚。

 

若い時の祖父と祖母、

その間に女の子が写っている。

 

母の子供の頃の写真かなと

思うが別人のようだ。

裏には「父、母、綾」とある。

 

ま、ま、まさか。

似ている。

名前も同じ。

 

この写真の子。

例の少女にそっくりだ。

 

母の名前も「あや」だったが、

漢字では「文」と書く。

どういうことだ?

 

 

後日、長女である姉に

母の兄弟姉妹について

何か知らないか聞いてみた。

 

そして驚くべきことが分かった。

 

「綾」という名は

母が生まれる前に亡くなった

母の姉の名前だという。

とても利発な子で

幼くして亡くなったのを

祖父母が悲しがり、

その数年後に母が生まれた時に

同じ名前をつけたのだと

聞いたことがあるという。

 

伯母さんになるのか・・・

 

また、

あの女の子、つまり

「綾伯母さん」が

熱心に見ていたアルバムに

入っている絵、

侍やお姫様などの絵。

 

あれらは満州で戦死した

「宗博伯父さん」が若い頃、

おそらく十代の時に

描いた絵だというのだ。

 

 

そうか、

あの橋のたもとで

道を教えてくれた作業服の

若造、いや、若者は

伯父さんだったんだ。

 

そう言えばあの時、

「よろしく」と言われた。

 

工事関係者の挨拶程度の言葉

だと思い、

気にもかけなかったが。

 

妹である母を「よろしく」

という意味だったんだ。

 

 

伯父さん。伯母さん。

 

先日はお世話になり

誠にありがとうございました。

 

えっ?

面倒かけるけどよろしくって?

 

宗博伯父さん、

そして綾伯母さん。

仕方ないですよ。

 

母は、あなたたちの妹は

病気なんだから。

 

ありがとうございました。

本当にお世話様でした。

 

<おしまい>

 

 

ありがとうございました。

 

 

自作の曲「姓名は大賀誠」

じゃなくて

「生命の大河」です。

(60歳以下で大賀誠という

キャラを知ってる人は

あまりいませんよね)

良かったら聴いてください。

 

                

 

 

ありがとうございます

あなたに雪崩のように

良きことが

降ってきますように❣

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★小説『最後の鬼ごっこ』ーその14ー★

 

 

ありがとうございます。

徘徊する認知症の母を

捜索する物語です。

 

★最後の鬼ごっこ』★

<その14>

 

「西?」

 

な、な、なんでこの子は

東西南北の方位で言うんだ?

 

「西っていうと、

あの~、

あっちに行ったのかな?」

 

 

「アハハ!

違うわ。

こっちよ」

 

 

女の子はニヤニヤ笑っている。

私をからかって

楽しんでいるようだ。

道路の上の標識を指して、

 

「新宿方面は東よ。

うん、

本当に方向オンチなのね」

 

 

なんなんだ!こいつは!

 

 

女の子は小さな頭を

左に少し傾け

こちらを見る。

それから、

くるっと背中を向けると

急に走り出した。

 

 

「ウェイト!ウェイト!

ちょいとお待ちなさい。

リトルガールよ!

ア、ア、アヤちゃん!」

 

 

女の子は青梅街道沿いの

細い路地に入って行った。

公営住宅の敷地を通り抜け

住宅街を走って行く。

 

小さな女の子とはいえ、

追いかけるのは大変だ。

 

なんとか後についていくと、

前方に林が見えてきて

神社が現れた。

 

 

「はい、あそこよ」

 

 

少し息を切らしている

私の顔を見たまま

少女は神社を指差し

ニッコリ笑う。

 

少女にアリガトネと言い、

その方向に行く。

 

人気のない神社の鳥居の

横にあるおおきい石に

腰をおろしている人影。

 

母親がボーッと座っていた。

 

 

「あれっ?母さん!

こんな所になんで

座っているの?

何してるの?」

 

 

「あ~ら、

お会いできてよかったわ。

え~と、え~と。

あっ、修一くんよねっ」

 

 

「そうだよ!

ユアサンのシューイチです。

こんな所で何してんの?

散歩?」

 

 

「まあ、何かとこっちの方で

用事があってね。

わかるでしょ」

 

 

あぁ、認知症で帰り道を忘れた

ということは

わかりますけど・・・

 

 

「とにかく、もう帰ろうよ。

それから、

あのお友達の女の子、

綾ちゃんって

どこの子?

あれっ?

どこに行ったのかな?」

 

 

来た道を母と一緒に戻ったが

少女はどこにもいなかった。

 

 

「さっきの女の子はどこの子?

一緒に何してたの?

誰なの?」

 

 

「誰って誰?

え~

女学校のお友達だったかしら?

学校でいろいろ勉強して

疲れたの。

もう帰りましょ」

 

 

もう忘れているようだ。

小学生と老婆が一緒の

学校なんて一体どこに行った

と思ってるのかな。

 

 

「あっ、そうだ!

お母さん、

ほら、このお守りを

鞄に入れておかなくちゃ」

 

 

GPS発信器入りの

赤いお守りを差し出す。

 

 

「なによ、それ?

まあ、綺麗ね。

くれるの?」

 

 

いつも鞄の中にあるから

見ているはずなのに

分からないようだ。

 

 

「はい、どうぞ。

ちゃんと鞄に入れておけば、

神様が守ってくれるからね。

たぶん」

 

 

「まあ、イエス様がちゃんと

守ってくださるのね!」

 

 

そういえば、

母はクリスチャンだった。

若い頃に洗礼を受け、

以前は近所の教会でオルガンを

弾いていたこともある。

 

しかし何で神社のお守りで

キリストが守ってくれるんだ?

 

まあ確かに

母の信仰はおおらかだった。

神社やお寺を参拝するのも

好きだった。

 

森羅万象神社仏閣!

万教帰一か。

アハハ。

 

 

結局、

あの綾という女の子は

見つからず、

どういう関係なのかも

分からないままだった。

 

その日は

母をマンションまで送り

そのまま泊まることにした。

 

<つづく>

 

 

 

自作の曲「申請」、

いや「新生」です。

良かったら聴いてください。

 

 

             

 

ありがとうございます。

あなたに雪崩のように

良きことが

降ってきますように❣

 

 

★小説『最後の鬼ごっこ』ーその13ー★

 

ありがとうございます

徘徊する認知症の母を

捜索する物語です。

 

 

 

★最後の鬼ごっこ』★

<その13>

 

またか・・・

 

マイ・ワンダリング・マザー、

徘徊する母は、

今日も遠くへ行ってしまうかな

 

と、思いながら

GPSをチェックしていると

 

なぜか私の家から

さほど遠くない

練馬のはずれの駅で

降りたようだ。

 

日が暮れ始めていた。

 

私は電車で隣の駅に行き

GPSを確認。

 

駅前でタクシーに乗り、

母親が歩いていると

思われる青梅街道を

田無方面に行くように

運転手さんに頼む。

 

窓の外の青梅街道に

目を凝らしていると、

 

しばらくして

右側の歩道の遠くに

母らしき姿を見つける。

 

今日はラッキーだ。

 

一瞬、

見間違えか

気のせいか

小さな女の子と一緒に

歩いているように見えた

が、

近づくと一人だ。

 

 

母を追い越して

五十メートル程のところで

タクシーを止めてもらい

降りる。

 

歩道橋があったので

駆け上がり、

反対側に渡って急いで

先程母を見かけた所まで

戻るが、

母は見当たらない。

 

 

おかしいな。

 

 

GPSで位置を確認しようと

携帯電話を出して

チェックしてみる。

 

こんな時に限って

なかなか

サイトにつながらない。

 

やっと表示された

地図情報を見ると、

 

近くにT字路があり

バスの中継所も

斜め前にある。

 

まさに私が今立っている

この場所が

表示されている。

 

 

どのくらい

誤差があるのだろうか?

 

半径百メートル位の

地域を捜し回るしか

ないか。

 

 

脇道に入っては戻るを

繰り返すが、

母の姿は何処にも

見つけることができない。

 

 

再び

GPSをチェックしようと

携帯を覗いていると、

 

目の端に赤いものが

チラチラしている。

 

 

あの女の子だ!

綾という子だ!

 

この前

母の部屋に来ていた

おかっぱ頭の女の子が

立ってこちらを見ていた。

 

それから

こちらに駆け寄ってきた。

 

そして手を伸ばし

何かを

差し出してきた。

 

「はい。これっ!」

 

それは

小さな赤いお守り袋だった。

 

 

オウ、マイガッ❣

ナンテコッタ❣

 

そのお守り袋は

母の鞄の中に

入れてあったはずなのに。

 

中にGPSの発信器が

入っているのだ。

 

 

「そ、そ、それ、

どうしたのかな?」

 

 

「アヤ、もらったの・・・

でも、いらない!

あげる」

 

 

「あ、あ、ありがと。

お婆ちゃんに貰ったのかな・・・

そうだよね。

いま、

お婆ちゃんはどこに

いるのか

知ってる?」

 

何で

この子がここにいるのか?

どうして

母はこの子にお守りを

渡したのだろう?

 

「ね~、

お婆ちゃんはどこかな?」

 

 

少し考えるように

首をかしげ

女の子は言う。

 

「え~と?

西の方に歩いて

行ったかな?」

 

<つづく>

 

 

 

「透明な時」

という自作の曲です。

良かったら聴いてください。

 

               

 

ありがとうございます

あなたに雪崩のように

良きことが

降ってきますように❣

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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