日本帰省Part 4 平塚 | アラスカの自然に囲まれて

アラスカの自然に囲まれて

アラスカ州のアンカレッジは自然がいっぱいで、季節の移り変わりを日々肌で感じる自然に密着したくらしです。このブログでは、ここアラスカでの釣りや山登りなどアウトドアライフを中心に、私の見た事、感じたことなどを独断と偏見で紹介します。

東京の次に向かったのは神奈川県の平塚。

このブログを通じて出会ったYさんにあうためです。

 

もうかれこれ10年ちかく前に、私のブログにYさんがアラスカ旅行についての質問のコメントをしたことから付き合いがはじまりました。これまで計3回アラスカにあそびにきてくれました。

 

前から一度、自宅を訪ねたいと思っていましたが、やっと念願がかないました。

 

Yさんは昔ながらの床屋を営む湘南のサーファー、大変面白い人なのです。

 

小田原駅まで迎えに来てくれるとのこと。東京駅で小田原の到着予定時刻を連絡。

 

小田原駅につくと、自分でレストアしたクラッシックなワーゲンパサートで迎えに来てくれていました。

そして再開の挨拶が終わるなり、「エアコンが効かないのでごめんなさい、それと坂道などでエンジンにストレスをかけたあとで止まると、セルモーターが熱のせいでしばらく回らくなるので冷えるまで待ってなきゃなりません」と申し訳なさそうにことわりが。

私たちへの細かい気遣いもそうですが、古い車にのる風情を愉しむYさんらしい。

 

僕達はYさんに愛車のワーゲンに乗せてもらうだけでハッピー。多少の不便も風情です。博多東京を5時間ちょっとで走る、効率がいいけど旅をただの移動にしてしまう新幹線とは真反対。その不都合がまた粋な贅沢です。

 

小田原で車に乗り込むと箱根めぐりにつれていってくれました。小田原から芦ノ湖までの東海道を登っていきます。途中の峠の茶屋で甘酒。

 

 

この裏には東海道の旧道が。石畳のみち、少し歩いてみました。昔は人々がここを旅したのかとおもうと、私もいつか歩いてこのあたりを旅したいと思いました。

 

この間、停めた車エンジン周りが早く冷えるようボンネットを開けっ放し。新緑に囲まれた駐車場のボンネット開けっ放しのワーゲンパサート、なんとも和やかな風景です。

 

 

このあと寄せ木細工の展示場によったり、芦ノ湖の側の200年以上前に植えられた杉の巨木の並木を見たり。

写真はカミさんと杉の巨木です。なにか共通点はあるでしょうか?

 

 

このあと、Yさん宅に戻る道すがら、小田原で3件のお店によってくれました。

干物屋さん。ここで私はカマスの干物を買いました。

 

かまぼこやさん。ここでは、イワシの天ぷらの揚げたてを立ち食い。Yさんはこの店の看板商品のかまぼこを購入。

かまぼこは翌日の朝食に。

 

心にのこる粋なはからい、かたじけない。

 

最後に鰹節屋さん。ここでは削ってある宗田節と鯖節を。これはアラスカに持ち帰るために買いました。

 

 

これで美味しいそばつゆが作れます。どのお店も、いかにも昔ながら。干物屋さんなんかすぐ裏が海岸。昔から続く人々の暮らしの匂いが。

 

さすがYさん、いいところをご存知で。Yさんの地元への愛情と誇りが伺えます。

 

夕食には、Yさんがわざわざ漁師さんから買ってきてくれた生しらすを和えたスパゲッティ。

派手ではない、ほのかな魚の旨味と甘み。

 

昔ながらの酒屋の紺の前掛けを締めて調理場に立つYさん、いちいち動作が決まっている。

料理をする様子を見ていても、丁寧な動作、台所が汚れない調理、そしてシンプルで無駄なもののはいらない食べ物。

私も目指すところは似ていますが、どうしてもスピードを気にして雑になります。それに、色々余計なものを使ったり入れたり。

 

その晩はあまりの気分の良さにYさんとっておきの山廃仕込みの日本酒、ほんの少しだけいただきました。普段アルコールを口にすることはありません。飲むとすぐ酔うので。多分10年ぶりくらいの日本酒です。特別な夜には特別なはからいで。

 

Yさんの奥さんは仕事で不在でしたので、3人で夕食を食べながらおしゃべり。Yさんも私も昔のブルーススプリングスティーンが好きなので、昔の彼の曲のことなど。ほろ酔い気分で最高の夜でした。次回は是非Yさんの奥様もまじえて。。。。

 

朝食がまたすごかった。味噌汁は里芋のずいき入り。初めて食べました。卵かけご飯の卵は地元の農家さんからYさんが買い求めたもの。昨日買ったカマスの干物。そしてかまぼこ。お店からの指示通り厚み12ミリにきって、醤油などつけずにわさびだけで。

 

正直あのかまぼこは私には少々高級過ぎて本当の味の違いがわかったとは思えません。言えることは、水っぽさがないということ。これは、その場ではっきりおもいました。あと、変にわかりやすいお菓子の旨味みたいなところがない。そういう意味では、物足りなく感じる人もいるかも知れません。塩味も甘みも控えめ、でもほんのりといろいろな、魚独特の旨味が。これで、精一杯の表現です。こんな経験は初めてなので、比較の対象がない。こんなところで勘弁を。

 

生卵もできるだけ醤油を少なくして卵の味をあじわいました。久しぶりに醤油の味ではなく卵の味の卵かけご飯を食べました。

 

心に残る朝食になりました。

 

この日は昼過ぎの下りの新幹線にのるので、またもや車で小田原まで送ってくれました。途中でよった平塚から湘南海岸を見下ろす高台での写真。湘南の海岸がずっと三浦半島の付け根まで続いています。Yさん、サーフィンする場所などを指し示してくれました。背後には丹沢。山あり海ありのいい街です。

 

 

このあとは小田原で、なんとも味のある場所に連れて行ってもらいました。

 

風鈴を作っている鋳物職人のところです。外見はトタン屋根の街工場。いかにもの雰囲気です。

表に展示場があります。狭いスペースに色々ならんでいます。風鈴、大小のドラ、そして色々な大きさのりん、チーンとならす仏具です。Yさんもここで作られた風鈴をおもちです。

 

鈴でできたものと、サハラとか言ういくつかの違う材料をあわせた素材のものがありました。

 

そのうちのひとつ、中くらいのりんを職人さんに鳴らしてもらいました。リーンではじまり、エコーしながら少しづつ小さくなっていく澄んだ音、小さくなりながらも延々と続きます。厳密には鳴り止むことはないのでしょう、人の耳には聞こえないながらも。

 

思わず「魂を覗かれるような音!」といってしまいました。どうしてそんなことをいったのか今になるとよくわかりません。口からでまかせかもしれませんが、とっさに出た言葉、なにかの理由はあるでしょう。その思いはなにか?このりんを中心に時間とともに空間全体に広がっていく音の波は、魂という、形も音もないけれど時間とともに変化する現象のなにかを表現しているように見えたのかも知れません。覗かれるとかんじたのは、私の魂の動きを音に例えるなら、こんなにきれいに共鳴していない雑音だらけという事を感じたからかも。そー考えると、これが仏具なのがわかるような気がします。

 

カミさんは、色々思案したけっか、Yさんが持っているのと同じかたの風鈴を一つ買いました。風鈴の涼が必要な日はありませんが、アラスカの澄んだ空気にかなでる音は、私たちに癒やしをくれることでしょう。

 

10分そこそこですが、この風鈴工房、大変充実した感慨深い時間になりました。

 

このあと、これまたおしゃれな喫茶店でコーヒーをのんで、小田原駅まで送ってもらいました。

 

Yさん、大変お世話になりました。Yさんがしてくれたこと、心に響きました。そして久しぶりに会って話ができて大変嬉しかったです。今は円安でアラスカ旅行にはいい時期ではないけれど、そのうち状況はよくなったらまた遊びに来てください。

 

では、それまでお互い元気でいましょう。