極寒のウィロワレイクトレイル | アラスカの自然に囲まれて

アラスカの自然に囲まれて

アラスカ州のアンカレッジは自然がいっぱいで、季節の移り変わりを日々肌で感じる自然に密着したくらしです。このブログでは、ここアラスカでの釣りや山登りなどアウトドアライフを中心に、私の見た事、感じたことなどを独断と偏見で紹介します。

先週テストしたアイゼンとプラスチックブーツの本番です。

日曜日は、以前からいってみたかったウィロワレイクトレイルのループコースにベテランのKさんと一緒に行きました。

この週末は今年一番の寒波の襲来で、朝9時うちを出るときの外気温度は氷点下27度(華氏でマイナス18度)。文字通り極寒のハイキングになりました。出発地点は、先週と同じパーワーライントレイル入り口のグレンアルプス登山口です。ハイキングのコースはうちより大分高度が高いので気温は少し高めだろうと思いきや、駐車場の気温は殆どうちと同じ氷点下25度前後。

今日は、谷間を歩いて、最後に山越えして帰ってくる約15キロ程の周回コースです。駐車場で万全の準備をして9時30分過ぎに出発。

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靴はもちろん二人ともプラスチックブーツ、それにストック、途中雪が深いことも考えスノーシューズもリュックにくくりつけて行きます。

もちろんアイゼンはリュックのなか、それからピッケルです。その他、おにぎり、水、パーワーバー、魔法瓶にホットチョコレート。念のため、予備のフリースや手袋も入れたため、装備は結構な重量に。後ろから見るとこんな感じです。

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何か物々しい、完全に厳冬期登山の装備です。先週同様パワーラインから左の谷におります。
太陽はまだ山の向こうです。

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ここからは、先週とは違い、オマーリの方へは行かず、西に山の周囲を巻くように草地や湿地帯を歩いて一つ向こうの谷間へ入り東の方へ進むのです。湿地帯はご覧の通り完全に凍っています。

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東へ向かう谷間へはいると、ものすごく冷たい冷気を感じます。谷間に山から降りてきた冷気がたまっているようです。おまけに向かい風。微風ですがこの温度では、わずかな空気の動きも体感気温に強烈に影響します。

フェイスマスクをして、一番厚手のウールの帽子をかぶっているのですが、露出部分はひりひり。ご覧の通り自分のはいた息が口の周りで凍り付き、更にはまつげの水分も凍ってしまい、すごい形相になりました。

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こうして、谷間を5キロ程、正面の尖った山(ウィロワピーク)のふもとをめざして歩きます。

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途中雪が深くなったのでスノーシューズをつけます。でもこれが一仕事です。気温が低いため、ゴムのベルトが棒のようにかたくなっていてなかなかうまく止めれません。

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外の厚手の防寒手袋を外し、うすでのインナーの手袋のみで操作してなんとかしますが、その間あっと今に指先の感覚がなくなります。凍傷にならないよう指先をマッサージしたり曲げのばししたりして血行良くして感覚を取り戻します。

途中、一度休憩して、おにぎりとパワーバーを頬張ります。持ってきたホットチョコレートはまだ暑く、その暖かさと甘さでエネルギーを補給します。おにぎりは一つのこったので後で食べる事にして出発。

太陽は昇ったようですが、谷間のため日はあたらず、時々出会う冷気の固まりと風に耐えながら歩くこと出発から3時間あまり、凍ったウィロワレイクの周辺にたどり着きました。湖は雪をかぶっていてよくわかりませんが。。。。。。

ここから南西にターンして、稜線への急斜面を登ります。ここで、スノーシューとストックをしまって、アイゼンを装着、手にはストックの代わりにピッケルです。

写真左の岩場の直ぐ右、写真の中央の谷の様に少しえぐれたところがルートです。私たちは、途中の真ん中にある岩の右をまいてそのすぐ右上の岩との間の雪のついたところを登りました。

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殆ど崖にみえますが、Kさん曰く、大体30-35度くらい、最大で40度ちょっとだろうとのこと。
標高にして約200メートル程を一気に真っすぐ登ります。雪はよくしまっているので、アイゼンの前爪を蹴り込んでピッケルを杖代わりにバランスをとって登ります。

急なのでどんどん高度を稼ぎますが、猛烈にキツい。ここ迄既に8キロ程雪面を歩いてきているので、足に来ています。

Kさんは経験と体力でするすると登りますが、それでも一応キツいとの事。それを聞いて安心しました。これでキツくなかったら本当に化け物です。

とにかく少し登っては、小休止をとりながら進みます。写真を見てください傾斜の感じが分かると思います。


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せまくなった核心部にちかづきます。

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そして登るに釣れて、更にキツくなります。これが稜線直下の岩のしたです。ここを左にいきます。

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多分一番キツいところは、少なくとも部分的には45度あると思いますが。登ってきたところを上からみると
殆ど真っすぐに落ちているように見えます。

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直ぐ左手には殆ど垂直なオマーリピークの北東の壁が見えます。


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こうして急傾斜と格闘する事40分程でしょうか。ようやくボールフィールドと呼ばれるオマーリピークの直ぐ北側から広がる緩斜面のカールに到着。

ここで今日はじめて直射日光にあたります。アイゼンを外すのでこの日向で休憩します。気温は相変わらず、氷点下15-20度くらいだと思いますが、太陽の光のおかげで暖かく感じます。

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とっておいたおにぎりを食べようとリュックからだすと、カチンカチンに凍っています。残念ですが、これでは食べれません。しょうがないので、またホットチョコレートでエネルギーを。

あとは、このボールフィールドの緩斜面をくだり、写真中央の遠くに見えるでっぱり、リトルオマーリの鞍部のところ迄いって、そこからは先週末と同様,雪面を左へ滑り降りて登山口へかえるだけです。

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リトルオマーリ迄は1マイルちょっと、それから駐車場まで1マイルちょっと、合計4キロ程です。

ボールフィールドをユックリ歩いて下ります。ここでは余裕も出て、世間話をしながらボチボチ下ります。

そして、最後のリトルオマーリからの下り斜面です。先週私が登ったときの足跡が残っています。

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ここからは、二人で尻セイドあっという間に麓迄おりました。

ただ、最後の駐車場迄の、標高にして70メートルの程の登り返しがこたえました。さすがにこれだけ歩くと足はへろへろです。さすがのKさんも結構つかれた様です。

そして、最後のハプニング。

密かに恐れていた通り、寒さのせいでバッテリーの電圧が弱くエンジンが、、、、

カ カ ラ ナ イ!!!!

幸いにも、直ぐ前にとめていた人がちょうどエンジンをかけて出て行くところ。ケーブルは持っているので、お願いしたところ、快く承諾していただきました。

有り難うございました。

5分程時間はかかったものの、なんとかエンジン始動、無事うちに帰ってくることが出来ました。

ちなみに駐車場到着は4時。行動時間6時間半、距離15キロ程、標高差は合計600メートル程でしょう。

Kさんに言わせると、今回のは立派な厳冬期登山で、もし前のマッキューが難易度1(11月下旬)、ピーク3(12月下旬)が難易度2なら今回は、難易度4か5だろうとの事。

途中では、スキーの3人組に谷間のトレールであったのみで、下山時のリトルオマーリの斜面で見た1人と犬以外は、山の上ではだれもあいませんでした。

それに途中からは、足跡も全くなし。結構な冒険でした。

経験豊なKさんが一緒だから行けた山行です。

有り難うございました。それにしても、寒かった。

どれだけ寒さが行動に影響するかのいい勉強になりました。

体力は消耗するし、道具も使いにくくなる、それに食べ物にまで影響が。。。。

寒さは侮れません。

Kさん次回はやはりもう少し暖かいときに、悪くても氷点下15度以上の時に行きましょう。

氷点下25度はちょっと大変です。