こうなったら、
もうとことんいくしかない――。

 

僕は清水の舞台から
ムーンサルトプレスを決めるくらいの覚悟で、
USJ名物の食べ歩きフード「ターキーレッグ」を
姉弟に一本ずつ買ってあげた。

誕生日ケーキを買うのでさえ苦しい
わが家の家計にあって、
奇跡のような大盤振る舞いだ。

 

 

 

骨付き肉は姉弟にとって、
テレビや漫画のなかでしか見たことのない
「夢の食べ物」だ。

しばらくまた晩御飯に
もやし料理が増える現実を忘れ
姉弟並んで2人仲良く

これにかぶりついていた。

 

 

 

夢のような時間を堪能するなか、
娘が少しうるんだ目でつぶやいた。

 

 

僕は娘に涙をみられないよう
とっさに横を向き、
心のなかで返事した。

 

 

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