元モデルの義母は、
かつてテレビに出ていたことのあるプチ有名人で、
義父を尻に敷くこの家の女帝だ。
身元についてはあまり詳しく書けないが、
とにかく僕の味方をしてくれたので助かった。
たぶんもう一生頭が上がらない。
ところがだ。
簡単に「けじめ」がつけられたことにたいして、
僕のなかでどこか釈然としない気持ちが生れた。
義理の父への退職あいさつを
あれだけ怖がっていたにもかかわらずだ。
その思いは泉のように
どんどんわき出てきてあふれそうになり
「このまま終わらせるのは
ズルいのではないか」などと
余計なことを考えてしまったのだ。
かくして、
誠意という名の
「偽善妖怪」がふたたび
産み落とされたのであった。
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