「ライターをしながら、Web上で物販の仕事をしようと思っています」――。
義父は「もったいない」とこぼしながらも
「君たちの問題だから」とあっさり受け入れてくれた。
そもそも義理の両親の関心は、
「なぜ会社を辞めるのか」よりも、
「会社を辞めてどうするか」という点にあったのだ。
「納得はいかないまでも、口出しはしない」
といった感じだろう。
もちろんその裏には妻の根回しとともに、
義母の力添えがあった。
これで僕が何も言わなければ、
一件落着、
丸く収まっていたのだ。
だがここでふたたび
僕の心に
「誠実さ」という怪物が
忍び寄るのであった。
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