ときに人は、

極限状態にさらされると

パニックを起こし、

考えられないような振る舞いをすることがある。

 

 

 

義父への退職あいさつで

あまりの緊張にテンパってしまった僕だが、

あのときもそうだった――。

 

高校2年の帰り道、

僕を含む某クラブの部員5人で

うどん店に立ち寄ったときの苦い思い出だ。

 

 

 

僕らが通されたのは、

店の隅にある6人掛けのテーブルで、

僕の前には3年生の先輩が座った。

 

 

 

物腰が柔らかく頼りがいがあり、

とてもきれいなぽっちゃり系で、

2年の男子に絶大な人気を誇ったステキな女性だ。

 

その上品な笑顔についうれしくなって、

とっておきの「笑い話」を披露したとき、あの事件は起きた。

 

 

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