妻の実家へ退職のあいさつに向かう道すがら――。
今度は中学時代の苦い思い出が
フラッシュバックした。
校則で禁止されている自転車登校がバレて、
生徒指導室に向かう途中、
担任の先生にいわれた言葉だ。
「一発くらい覚悟しておきなさい」
義父への誠実な態度は
男と男の約束の一種などと書いたが
許されるのであれば、
ほんとうは黙って会社を辞めたかった。
それぐらい、
義父に会うのは怖かったのだ。
その緊張たるや
結婚のあいさつの比ではない。
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