おすすめ度4
難易度4
旧約聖書の神は自分を信じず、異教の神を信じたものを激しく罰するなど厳しいかつ理不尽極まりないのがヨブ記。
ヨブはいたって敬虔でよい人です。
そんなヨブに対して神はサタンに唆されて、彼を苦しめます。
ヨブは恵まれているから神を信じているのであって、そうでなくなったら信じないぞとサタンに言われて、実際にヨブを苦しめる神。
サタンは答えた。
「ヨブが、利益もないのに神を敬うでしょうか。あなたは彼とその一族、全財産を守っておられるではありませんか。彼の手の業をすべて祝福なさいます。お陰で、彼の家畜はその地に溢れるほどです。ひとつこの辺で、御手を伸ばして彼の財産に触れてごらんなさい。面と向かってあなたを呪うにちがいありません。」
主はサタンに言われた。
「それでは、彼のものを一切、お前のいいようにしてみるがよい。ただし彼には、手を出すな。」
（ヨブ記1章9－12節）
正直神の気紛れもいいところで、ヨブからしたら俺の何が悪いねんという感じです。
なんですが、ヨブは堪え忍び神を信じます。
ヨブの知り合いはおまえが悪いことをした報いでこのように苦しんでいるのだろうと言われても、自分は正しいのだと主張します。知り合いは何とも鬼畜ですね😅
けど、ヨブもさすがに辛くて、神に訴えます。
ですが、神は自分が世界を作ったときの苦しみをお前は知っているのかと自分の偉大さを誇示するという痛烈っぷりです。
わたしが大地を据えたとき
お前はどこにいたのか。
知っていたというなら
理解していることを言ってみよ。
（ヨブ記38章4節）
ヨブでなくてもそんな生まれるはるか以前の話なんか知るかよです。
けど、ヨブは最終的には神を批判したりしません。
あなたは全能であり
御旨の成就を妨げることはできないと悟りました。
（ヨブ記42章2節）
いやー、これが実は凄まじいことを意味するんだとユングは読みといていくわけですね。
神は全知全能かもしれないが、神自身はそれを知らず、ヨブは神より劣りつつも神の偉大さを意識できているという点で優れているというドラマチックなことが起こっていると。
ここから、神は恐怖を与える神でなく、愛の神へと変身する道が開かれ、イエスへとつながっていくとユングは読み解く。
ユング心理学を用いて、キリスト教のもつ矛盾のダイナミックさを解釈するユングの鋭さはさすが。
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