おすすめ度4
難易度3
ピーターパンの作者バリーがいかにピーターパンを書くことになったのかに迫った研究書。
これを読むと、バリーの子どもとの交流と、彼の家族関係の苦しみが見えてくる。
バリーがピーターパンを書くきっかけになったのはデイヴィス家の5人兄弟の男のたちとの交流。
*この映画は見ておくと分かりやすいはず。
バリーはデイヴィス家の子どもたちとケンジントン公園で遊んだり、山荘でごっこ遊びを楽しんでいます。
うん、この話の変なのは大の大人と子どもと真剣に遊んでいることなんですよね。
バリーはこの時点で結婚しています、ただ子どもはいないという状況です。バリーの奥さんからしたらよその子と何しているのという感じです。
だから、後にバリーの奥さんは別の男と仲良くなってバリーと離婚します。
デイヴィス家はデイヴィス家でなんだあいつはという感じです。
デイヴィス家の主人アーサーは紳士なので露骨には嫌がりませんがよく分からん奴が子どもと奥さんに会っているのは気分のいいものではありません。
こう周りの人たちはうっとうしがっているのにバリーはあまりこの辺の問題をあまり気にしていないように思います。
バリーは純粋に子どもと遊びたかっただけなのかもしれません。
けど、バリーの真剣な子どもとのごっこ遊びがピーターパンにつながるのだから凄いものです。
ですが、ピーターパン成立事情には様々な人がなくなります。
まず、デイヴィス家のアーサーがなくなります。
残ったデイヴィスの妻と子どもたちの面倒をバリーはします。*これは世間から様々な誤解を生むのですが。
そして、デイヴィスの妻も若くしてなくなり、子どもたちは親がいない状況になります。
この状況になって、すでにピーターパンで売れっ子になっていたバリーはこの5人の子どもの身元を引き受けます。
5人も面倒をみるとはバリーはなかなか男気があります。
ちなみに、この5人の子どもたちの名前はピーターパンのなかにも登場しており、ピーターは3男の名前です。
さて、バリーの男気のおかげで兄弟たちは素敵なイギリス紳士として成長していきます。
ですが、長男は第一次大戦で戦死、4男は若くして溺死とバリーの精神をえぐっていきます。
また、子どもたちは何かとピーターパンと関連付けられることがあり、あまり精神的にいいものではなかったようです。
特にピーターパンの名前の由来となったピーターは63で自殺するのですが、彼にはピーターパンは忌々しい傑作だったようです。
なんか、人死にすぎてないというくらい死んでますが、死の話はもっと前からあります。
バリーにはお兄さんがいるのですが、若くして死んだためバリーは母親に大切にされていない節があります。
なお、この母親の不在がピーターパンにおけるウェンディを登場させるきっかけとなっていきます。
こう見てくると、ピーターパンがただワクワクするだけの冒険物語でない、悲しみを含んだ物語であることが分かってくると思います。
さて、ピーターパンという永遠の子どもはどう理解すればいいのやら。
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