おすすめ度4
難易度3
いわゆる通史というよりも、著者自身がどういった来歴で生きてきているのかを知るために歴史を参照していくというスタイル。
歴史の向き合いかたとして共感できるところ。歴史は単純な事実の羅列ではない。歴史を通して、自分を、そして世界を知りたい。
さて、著者は歴史を読み解くキーワードとして「立場」を取り上げる。
このキーワードが浮上する理由は著者が新卒後働いた住友銀行でバブルの発生に部分的に従事していたことが大きい。
日本の優秀な大学を出た人が何ゆえ合理的に考えるとおかしなことにノーと言わずに突っ込んでいけるのか不思議でならなかったようだ。
そこから、著者は大学院に戻って、日本のバブル期のおかしさは満州国に類似したものがあると思い満州国の研究に従事していく。
この研究から著者は日本は「立場」を守るためには、多少ルールを破ってもいいという風習というかメンタリティが日本の近代史は見られることを指摘する。
この「立場」が暴走した結果として、先の大戦の悲劇があると見なした上で、立場主義がこの国においてどのように成立し、現状どうなっているのか論じる。
著者によると中世から近世にかけて家制度が登場し、江戸時代では家制度に基づく制度が確立したが、近代になると立場主義が登場し、猛威をふるった。だが、この立場主義は今後も続くか分からないところに日本の現在は苦しんでいると述べる。
日本社会論には「空気」、「タテ社会」といったキーワードで論じられたことがあるが、それに劣らない独創的で射程の広い議論だ。
現在の日本が「立場」の呪縛を越えて、新しいあり方を求めていけるか考えるためにも著者の動向はチェックしていきたい。
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