書籍紹介。内山節『日本人はなぜキツネにだまされなくなったか』講談社現代新書。 この投稿をInstagramで見る 内山節『日本人はなぜキツネにだまされなくなったか』講談社現代新書。読了。 おすすめ度4 難易度2 キツネにだまされたことがあるかって? そんな経験は僕にはございません。はい。 けど、昔ばあちゃんが自分が子供の頃はキツネじゃないけど、タヌキに化かされたとか、河童に足を掴まれて川に溺れそうになったとかって話を冗談でなく、真面目にしていたのを覚えている。 嘘をつく人には思えなかったから、何でこんなことを言えるんだと子供心に不思議に思っておりました。 うーん。何か見えているものが違うのでしょうか?それとも、ばあちゃんには僕にはない霊力云々が・・・。 これは本書を読んで、気づいたけど、日本が急速に近代化する以前の世界を知っているかどうかに関わってくる問題のようですな。 昔はキツネにだまされたっていう類いの話はそこらじゅうあったのに、著者曰く1965年頃を境そういう話が報告されなくなるんだと。この原因を探るとちょうど日本が高度経済成長して、急速に近代化したことと関わっており、その時期を境に日本人の自然観、共同体観が変わったことが大きな要因であることが分かったそうな。 昔は自然に包まれて、自然と一体に生きていたけど、今はもう合理的な見方にすっかり慣れてしまって自然を客観的なものとしてもっぱら見てしまうんですな。キツネも合理的に見てしまうゆえに、だまされなくなるんですな。 キツネにだまされなくなった我々だけど、これが必ずしもいいことなのかはまた別問題。キツネが人をだましたのかどうかの事の真偽は置いといて、キツネが人をだますってことを受け入れるメンタリティのほうがもしかしたら、自然に対して豊かな感性を持っていた可能性は否定できないんですな。 キツネにだまされるって話から日本の近代化、自然観、歴史の問題へと繋げていく本書はキツネにだまされなくなった私たちの価値観を揺さぶってくるかと思います。 うーん。ばあちゃんたちに見えたキツネにだまされる世界はちょっと体験してみたいですな。 #読書#読書記録#本#本好きとつながりたい#book#書籍紹介#教養#歴史#キツネ#日本#近代化#都市#田舎#民俗学#里山#受験#自然#生命#共同体#内山節#講談社現代新書 kurokuryoさん(@kurokuryo)がシェアした投稿 - 2019年Aug月28日pm5時39分PDT