『先生の白い嘘』 男はクズですなぁ | 悪食のシネ満漢全席

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ろくに情報知らぬまま、当たり屋みたいに突撃して、 しょーもない感想を言い合って、備忘録代わりに残します。 かなりの無責任、言いたい放題、無礼千万をお許し下さい。

 

悪食 80点
今年 54本目

監督 三木康一郎
原作 鳥飼茜
脚本 安達奈緒子
出演 奈緒
   猪狩蒼弥
   三吉彩花
   風間俊介


男女間の性の格差を描いた鳥飼茜の同名漫画を実写映画化。
渋谷シネクイントへ。

鑑賞結果、男と女の不平等の根本的な一面を描いた意欲的な映画である。
つくづく男はダメですなぁ。


ここからネタバレ満載でいきますならご注意を⁉️



高校教師をしている原美鈴(奈緒)は、女であることの不平等さを感じながらも、そのことに目を背けながら生きていた。


そんなある日、親友の渕野美奈子(三好彩花)に早藤雅巳(風間俊介)と婚約をしたことを告げられる。
早藤は美鈴に女であることの不平等さの意識を植えつけた張本人だった。



何年も前に美奈子(三吉彩花)が引っ越しをするというので、美鈴(奈緒)は手伝いに来ていた。
早藤(風間俊介)もまた手伝いに来ていた。
早藤は美鈴に邪な感情を抱いていた。早藤は美奈子にわざと買物を頼み、時間を稼いだ。
そして美鈴と2人きりになった途端、その本性を現した。美鈴をレイプしたのだ。しかも美鈴の尊厳を奪い、男と女の不平等さを見せつけるように。
それ以来、早藤は何かと美鈴を呼び出しては犯していた。怖がり抵抗出来ない女を犯すことで早藤はえもいえない快感を得ていた。
美鈴もまた忌み嫌う早藤ではあったが、彼とのセックスを通して性への欲望や快楽の渇望を覚えて呼び出しに逆らうことが出来なくなっていた。



そんなある日、担当クラスの男子生徒、新妻祐希(猪狩蒼弥)のいじめの相談に乗っていたところ、性の悩みについて相談された。「バイト先の奥さんにホテルに誘われ、断ったがセックスさせられた。そして自分は女性器に対して恐怖を感じる」と。しかし美鈴(奈緒)は、「それは不平等を感じていない男の勝手な言い分でしょ。結局は欲望に負けてしたかっただけでしょ」とつい本音を言い放ってしまった。新妻は居た堪れなくなって相談室を出て行ってしまった。


自分の感情を押し殺してきた美鈴はそんな自分に驚いた。
それ以来、学校を休んでいる新妻の家に行って美鈴は詫びるのであるが、新妻は美鈴が来たことに喜びを感じているようだった。
新妻は本音で向き合ってくれた美鈴を好きになっていた。


新妻は美鈴を見ていると、美鈴に男の影を感じるようになった。早藤の存在だ。
そして美鈴がSOSを発信していることも感じたが、何も出来ない自分がいた。
美鈴は早藤に対して抵抗するようになっていた。それは新妻の存在があったからなのかもしれない。
呼び出しをした早藤に対して「本当は女が怖いんでしょ。だからそれに対して暴力で抗っているだけなんでしょ」と。早藤は「今日は抱く気が失せた」と言って帰って行った。


早藤は家に帰ると美奈子を乱暴に抱いた。「子供が出来ちゃう」という美奈子を無視して。
早藤(風間俊介)は、会社の重役の娘である美奈子(三吉彩花)と婚約した。美奈子はその席で子供が出来たことを初めて告げた。
早藤は恐怖した。自分が親になどなれないと。
そしてその恐怖を美鈴(奈緒)で晴らそうとした。
美鈴に男が出来たことを知った早藤は、別れてやる代わりに「その高校生の前で俺にやられるか、俺の前で高校生とやるかを選べ」と。
約束の日にホテルに来たのは美鈴1人だった。
美鈴は早藤に「本当は女のあそこが怖いんでしょ。だからそんなことをしている。あなたは弱い男」と。
早藤は怒り狂い美鈴を殴り倒し、馬乗りになって何度も何度も殴りつけた。血だらけになった美鈴は動かなくなった。

早藤(風間俊介)の行動に不審を感じた美奈子(三吉彩花)は、早藤のスマホを見て美鈴(奈緒)がいると思われるホテルに行ってみた。そこには血だらけの美鈴がいた。美奈子は「彼を許して」と泣きながら懇願し、救急車を呼んだ。
美鈴は重症だったが、命に別状はなかった。
それ以来、美奈子は早藤と連絡が取れなくなった。心配した美奈子が早藤のマンションに行ってみると姿がない。しかし物音がしたクローゼットを開けてみると、首を吊った早藤がいた。
美奈子は慌てて包丁でロープを切る。
早藤は息を吹き返した。早藤は言った。「俺は生きてる価値がない。死なせてくれ」と。美奈子は本音を吐いた。「あんたがクズ男だということは知っていた。どんな酷いことをしていたのかも。それを見て見ないふりをしていた。だからあんたはそのクソみたいな残りの人生を私とお腹の赤ちゃんために死ぬまで使いなさい。勝手に死ぬことは許さない」と。そう言った矢先に美奈子は破水した。美奈子は「今あなたにできることをして」と言うと早藤は救急車を呼ぶのではなく、警察に電話をしてレイプしたことを自白した。
美鈴は退院するとすぐさま学校に復帰した。
しかし生徒との関係が噂されていた。美鈴は認めて、学校を辞めた。



数年後、美奈子(三吉彩花)は、刑務所に早藤(風間俊介)の面会に行く。その腕には生まれた赤ん坊を抱えている。面会が終わり「また来るね」の言葉に早藤は「よろしくお願いします」と答えた。
美鈴は家の庭の手入れを業者に任せた。以前は新妻(猪狩蒼弥)のおじいさんのところに頼んだが、今回は別の業者を選んだ。業者がやってきた。そこには植木屋になっていた新妻がいた。
エンド。

という映画です。
女のしたたかさや強さをまざまざと見せられたという感じではありますが早藤があまりにもクズ男過ぎて引きました。
新妻は子供だからあんなものでしょう。

しかしそれにしても男という生き物はしょうもない生き物だということを思い知らされます。
早藤がクズ男なのは誰もが認めるところでしょうが、極論すると男とはあんなものでしょう。
それに対して女とは強い生き物だということを感じます。
この根本的なことは何かと考えるに、やはり、生命を自らの体で作り出すことができるか出来ないかの違いだと思われる。根本的な生命力の違いすら感じます。

ではなぜ男と女の間に不平等があるのか?
平等が第一前提だとしても、もし本当に平等になったら、男はタネを持つ種ということに存在意義があるだけのものに成り下りかねないでしょう。
だからこその力を有し、それを行使する。平等になったら勝てないから、勝てるものを備えた。
ただそれだけのような気がします。

また男の情けない一面を描いた映画を突きつけられてしまった。
男はダメですねぇ。
だからこそ、女性をリスペクトして生きていかなければならないのです。
所詮、女には勝てないのですから。
ならば手のひらで遊ばされている方が幸せなんですよ。男なんてものは。


是非、劇場で。
情けない男という生き物を見てやってください。