季刊誌「ADLiB」は73年秋創刊 | ジャズと密教 傑作選

ジャズと密教 傑作選

空海とサイババとチャーリー・パーカーの出てくるお話です

ゴンチチのラジオ番組(NHK-FM土曜朝9時~)。「過渡期」について思うところがあるかという設問。

 

ぼくの思い出すのは油井正一の発言に対する中村とうようの言い分。

 

マイルス・デヴィスの「オン・ザ・コーナー」(72年)から次作の「ライヴ・イン・コンサート」(73年)辺りの作品について油井は過渡期と評したが、過渡期というのはあとになってそれを振り返った時に使う言い方であって、いまの時点でマイルスをどう見るかとなればそれは試行錯誤と言い表すべきと中村は異を唱えたのだった。

 

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番組でゴンチチはなんと、そのマイルス・デヴィスの「マイルストーンズ」を紹介する。

 

それは58年のオリジナル吹込みから時を経て吹き込まれたバージョン。電気楽器も取り入れた、69年のビッチェズ・ブリューを所謂エレクトリック・マイルスの完成形とするならば、紛う方なき過渡期の作品といえる曲であった(ウェイン・ショーターも吹いていて、67~68年頃の録音と思われる)。

 

この曲についての雑感を述べるうち、ゴンザレス三上の口からは試行錯誤の語も出て来る。

 

試行錯誤を乗り越えてこそ、過渡期などと平安な論評を加えてもらえるというわけ。

 

「ジャズの帝王」の座にふんぞり返ったりせず、一から新しい音楽に取り組もうとするマイルスは偉いなあ、というお話でした。