ぼくはみみずくん その7 ギターは泣いている | ジャズと密教 傑作選

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空海とサイババとチャーリー・パーカーの出てくるお話です

発声器官を持たないみみずは鳴くことがない、と人間世界の常識は言う。その通り、物理的発声はないのかも知れない。しかし、生物が鳴くというのはどういうことなのか、狭義の「発声」に捉われずにそれは規定すべきであろう。

生物はどうして鳴くのだろうか。生命にとって鳴くことの意味とはなにか。この視点を忘れてはならない。彼らにとってのその意義を考えたとき、発声器官がないから鳴いていないなどという通り一遍の理屈をどうして採用できようか。

そこに現象と衝動を見なくてはならない。そこには生命の発露がある。大地の中で他の存在と相互に関係し合いながら、我々は声を出さずにはいられない。

大いなる生命の胎内にありながら、いわば「個の生命」を与えられた我々のそれは魂の叫びなのである。一寸のみみずにも五分の魂。我々は身中に魂を宿している。たとえ体を半分に切られても我々の魂は不滅だ。

そう、みみずは鳴いている。
ジョージ・ハリスン のギターが泣いているのと同じように。