ぼくはみみずくん その6 異物との摩擦によって生ずる負のエネルギー | ジャズと密教 傑作選

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空海とサイババとチャーリー・パーカーの出てくるお話です

この悠久の時空に連綿と続く至福の生成活動に寸分の不快感が混じるようになったのはもうだいぶ以前のことだ。それは日々年々、場違いな不協和音とリズムを成さない振動としてその勢いを増した。それらの不快な要素は大地を満たした至福の質感を確かに侵食し始めた。

その正体は言うまでもなく人類のその独自の、元来この宇宙に存在しない合成された特殊な感情の集合である。

貪瞋痴という。人類がその心の内奥を自ら分析して見せた成果は心の三毒として認識されたが、その決して望まぬ感情に人類は苦しめられてきた。

そもそも存在するはずのなかったその心の闇は対峙する本来の仏性を覆いつくして増大する。母屋を取られた心王は自らを傷つけ、その補償作用として湧き起こる負の想念を周囲にまき散らす。個々の心中に起こるその作用は、だが世界を染め上げた。

神の法則、宇宙の摂理に向かって自らの我執を以て挑む人類よ。その鎮静不可能の強大なエネルギーは果たしてどこにどう収束していくのだろう。

その負の想念から発した歪んだエネルギーのくさびは我々の大地にどのような傷跡を残すのか。そして、異物の浸食による不快感に身もだえする大地からはどのような、またエネルギーが発生するのだろうか。