小学校低学年の頃の記憶で、今でもよく覚えている光景がいくつかあります。


それは、両親の喧嘩シーン。


たしかあの日は、珍しく家族で朝から出かけていました。ちょうど春休み中で「子供をどこかに連れて行ってやる」という家族サービスの日だったのでしょう。


でも、どこに行ったかは覚えていません。

それぐらいその日の終盤の出来事が強烈だったのです。


家に帰り、夜ご飯を済ませてしばらく経ったあたりで両親が喧嘩を始めました。(何がきっかけだったのかは今も謎です。)


段々と声が大きく、怒号が飛び交い、父が母に暴力を奮っていました。次第に母の怒り声が悲鳴に変わりました。


それまで私は別の部屋で身を潜めていましたが、母を助けなければと咄嗟に思い、当時持っていたぬいぐるみを脇いっぱいに携えて、両親が喧嘩をしている部屋に行きました。


母は部屋の角に追いやられ、うずくまり、ひたすら暴力を受けていました。

私がいくらやめてと叫んでも、父の背中をドンドンと小さい拳で叩いても、全く効きませんでした。


父は狂っていました。


恐らく、生まれて初めて見た父の姿のひとつでした。


泣き過ぎて涙は枯れ果て、叫びすぎてなんだか喉も痛かった。必死で脇に携えていたイルカのぬいぐるみは、少々形が歪んでいました。



その後どのようにその日を終えたかは全く覚えていません。