ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クスリデス | Dear, Near Here

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死にそうな暑さです。。。

 

 

 

 

近所の薬局の入り口ではカエルのケロちゃんとゾウのサトちゃんが四季折々のいでたちでお客様を出迎えてくれる。

 

神社の狛犬よろしく左右を固める二体のポップドールは、サンタクロースのコスプレで道行く人を和ませ、ジングルベルと共にクリスマスシーズンの到来を町に知らせている。久々の賑わい。

 

和むだけならまだいいが、用もないのに立ち止まってじっと見つめる輩もいる。私のことだ。

 

ここの息子さんに洋裁好きの可愛らしいお嫁さんが来て以来、裸んぼだったマスコットがだんだんアバンギャルドな服装になりつつあり、それが私の足をそこに貼り付ける。
 

薬剤師でない彼女が薬局の販促活動として自分に課したのが、手縫いの服をポップ・ドールに着せることだという。

この夏など、ケロちゃんはヘソ出しルックであった。しかもご丁寧に、腹部には×印のヘソまで描いてあった。カエルなのに。

 

その時以来、その薬局の前を通るときには、つい、歩調がゆっくりになり、また何か面白い仕掛けがないものかと目は釘付けになっている。

 

そんなわけで今日も、スーパーに行った帰りに立ち止まってあちこちをながめながら、つんつん触ったりしてケロちゃんたちを観察していた。

と、自動ドアが、ががーっと開き、店内の注目がいっせいに私に刺さった、気がした。

妙に動揺して、持っていたスーパー袋を落としてしまったとき、豆腐のパックがひしゃげるイヤな音を感じた。

 

豆腐クラッシュの予感。ヤバい。

 

動揺をかくすために、最初に目に入ったバンドエイド を、あたかも予定の行動であったかのようにしれっと購入し、豆腐のダメージを確認すべく家に急ぐ足

━━やっぱり割れてる。ガーン 

 

湯豆腐にするつもりだったのに、もはや固体ですらない。吸収を助けるなめらかなゲル状に変わり果ててしまった。

 

湯豆腐食べたかったのに。 あつあつのおいしい湯豆腐が。      

 

 

どうすりゃいいのよ、このゲルドーフ。

 

寒いから湯豆腐で体を温めようと、薬味もいろいろ用意してオールスターキャストで楽しもうと思っていたのに。えーん

 

 

結局、湯豆腐を心待ちにしていた家族全員が、離乳食のような麻婆豆腐をすすって食べた。それが、その日の夕食風景。