夜の街は、薄い霧に包まれていた。
人影の少ない歩道。
コンビニの看板だけが煌々とした光を放っている
ポストの前で立ち止まる少女の姿があった。
両手で握りしめた青い封筒を、
ゆっくりと投函口へ押し込む。
その動作を、
遠くから見つめている影がひとつ。
黒いフードを被った男。
街灯の光が、スマホの画面に反射して揺れる。
指先が静かに“シャッター”を押す。
――カシャ。
その音を、少女は気づかない。
ポストの中へ封筒が吸い込まれる。
わずかな金属音が、
夜の空気に沈んでいった。
男は、スマホをポケットにしまい、
その場を離れた。
振り返ることなく、
歩道の影に溶けていく。
街の片隅、
通りの角の公衆電話ボックスのガラスに、ポストの 赤い影が反射していた。
男は、その反射越しに彼女を見ていた。通りの角
公衆電話ボ、
ポケットの中のスマホが振動する。
画面には通知。
《#青い封筒 #罪を告げる声》
指先が止まる
「ほんとに出したんだな……」
かすれた笑いが喉の奥から漏れた。
まるで、自分だけがこの秘密を知っているかの
ように。
まるで、世界の秘密をひとつ暴いた
同じころ――
主婦の家。
玄関のポストが、かすかに軋む音を立てた。
その音に、彼女ははっと顔を上げた。
外を見ると、誰もいない。
風のせいだろうか。
そう思いながらも、胸の奥にざわめきが広がる。
テーブルの上のネックレス“R”が、
照明を受けて淡く光った。
その夜、主婦のスマホに通知が届いた。
《見ていた》
送り主は不明。
ただ、それだけの一文。
ベランダの外、
向かいのマンションの屋上には、
またあの影が立っていた。
フードの下で、
スマホの画面が淡く光る。
そこには、
主婦の家のポストが映っていた。
――彼は、ずっと見ていた。
封筒が誰の手から誰の手へ渡るのかを。
📩次回予告
青い封筒をめぐる“視線の連鎖”。
そして、ひとつの過去が再び動き始める。
👄見ていた者は、誰の味方なのか。
それとも――すべてを操る者なのか。
