朝が来ても、主婦は眠れなかった。
テーブルの上には青い封筒。
そして、中に入っていた数字。
「7」
その数字が何を意味するのか、まだ分からない。
だが、不思議なことに。
どこかで見た気がしていた。
主婦は引き出しを開ける。
古いアルバム。
何年も触れていなかった箱。
その中から、一枚の写真が落ちた。
思わず息が止まる。
そこに写っていたのは――
若い頃の自分。
そして数人の男女。
だが。
写真の端が不自然に切られていた。
まるで、誰か一人だけを消したように。
主婦の胸がざわつく。
「……誰だった?」
思い出せない。
いや。
思い出したくないのかもしれない。
その頃。
少女もまた、一枚の新聞記事を見つめていた。
古い記事。
何年も前の地方欄。
小さな扱いの記事だった。
『少女失踪』
それだけ。
記事は短く、その後の続報もない。
まるで最初から存在しなかった出来事のように。
だが少女の視線は、記事の日付で止まった。
その数字。
昨日届いた数字と同じだった。
少女の背筋に冷たいものが走る。
「まさか……」
同じ頃。
フードの男は必死にデータを調べていた。
8人。
数字。
青い封筒。
共通点を探す。
すると一つの古いフォルダが表示された。
開こうとした瞬間。
画面が暗転する。
そして文字。
《過去を掘るな》
男は凍りつく。
次の瞬間。
新しいメッセージ。
《思い出す時が来た》
誰が送っているのか分からない。
だが。
確実に誰かが見ている。
同じ頃。
Rは静かに窓の外を見つめていた。
長い沈黙。
そして小さく呟く。
「……始まったか」
机の上には、一枚の写真。
そこには8人ではなく。
9人が写っていた。
しかし。
一人だけ顔が黒く塗り潰されている。
Rはその写真を裏返した。
見たくなかった。
だが。
もう逃げられない。
その夜。
再びスマホが震える。
主婦。
少女。
フードの男。
そして8人全員に。
同じメッセージが届いた。
《あなたは、あの日を覚えていますか》
誰も返信できなかった。
だが、その一文だけで十分だった。
忘れたはずの記憶が。
少しずつ目を覚まし始めていた。
そして。
どこかの暗い部屋で。
ひとつのファイルが開かれる。
ファイル名は――
『青い封筒クラブ』
その中には。
一枚の写真。
そして。
赤い文字でこう書かれていた。
《全員、関係者》
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第26話「9人目」