登場人物👥&プロローグ🕵️‍♀️
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 ポストに手を伸ばした瞬間、指先が冷たくなった

 青い封筒が、一通。

 差出人の欄には、何も書かれていない。



 けれど、筆跡に見覚えがあった。

 ――女の文字。

 まるで、爪の先で心をなぞられたように、

 妙に柔らかい線。



 封を切くと、便箋には一行だけ。

 

 「あなたの父の罪を、私は知っている。」


 目の奥がじわりと熱くなった。

 “罪”――

 その言葉が、胸の奥で何度も反響した。



 父は、誠実な人だった。

 優しくて、弱くて、

 家族の誰よりも正しくあろうとした。



 少なくとも、

 母が倒れるあの夜までは。



 思い出したくもない記憶が、

 まぶたの裏をゆっくりと流れていく。



 グラスの中で、氷がゆっくりと回った。

 琥珀色の液体が、淡く光を返す。

 水滴が外側を伝い、

 テーブルの上に小さな輪をつくる。

 


 焦げたような甘い匂い――

 ブランデー特有の香りが、空気を染めていく。

 その香りが、彼女には“罪”の匂いにしか思えなか

 った。

 テーブルの上に投げ出された女物のアクセサリー。



 白い小箱の中にあったのは――

 “R”の刻印が入ったネックレス。



 誰のものか、母には言えなかった。

 でも、私にはわかっていた。



 あのとき、父の指先が

 わずかに震えていたから。



 母が病院のベッドで目を閉じた夜、

 私はひとり、家のポストの前に立っていた。

 風が吹き抜け、髪を揺らす。



 そのとき、ポケットの中で何かが当たった。

 ――あのネックレス。

 


 その夜、私は確かに宛名を書いた。   

 けれど、あの瞬間の私は、

 「誰に」宛てたのかではなく――

「何を」伝えたかったのかしか、見えていなかった。


 封筒が投函口の奥へ消えていく音を、

 私はただ、無表情のまま見送っていた。



 その音が、

 まるで自分の心の奥に

 小さな鍵をかけるように響いた。






 📩 次回予告


 青い封筒が導くものは、告発か、救いか。

 そして――少女の罪を見ていた“第三の影”が動き

 出す。


 👄真実を語るのは………?📮