固定資産税の価格はどのように決定され、その価格はどのように位置づけられているるのかについての説明です。

 

 その前に「固定資産税・都市計画税の概要」を掲げます。

 

固定資産税の評価は「固定資産評価基準」による

 

 地方税法には、固定資産税の価格の決定に関する条文があります。

 

<市町村の職員の任務>ー地方税法403条
「市町村長は……固定資産評価基準によって、固定資産税の価格を決定しなければならない。」

 

 つまり、地方税法の中に固定資産税の価格を決定すべき基準=「固定資産評価基準」が位置づけられているのです。

 

 この地方税法第403条は、かつて(昭和37年以前)は「固定資産評価基準に準じて決定すべき」となっていましたが、現在は「基準によって、決定しなければならない」と表現が強くなっています。

 

 これは、固定資産税の評価額決定に対する「固定資産評価基準」の「法的拘束力」が強まったということになります。

 

相続税における評価基準は何か 

 

 では、固定資産税と同じ資産評価の相続税ではどうでしょうか。

 

 相続税の財産(土地)評価においては、国税庁により財産の評価に関する取扱の全国的統一を図るための「財産評価基本通達」があります。

 

 しかし、相続税法という法律がありますが、相続税法の中では「財産評価基本通達」という用語は一切出てきません。つまり、相続税評価においては「財産評価基本通達」は「法的拘束力」は有していないのです。

 

 固定資産税は、全国一律の大量一括評価ですので、この「固定資産評価基準」により「固定資産税の課税標準となるべき価格」が決定されています。

 

固定資産税の価格とは「適正な時価」

 

 ところで、地方税法には、固定資産税の「価格の定義」がされています。

 

<固定資産税の価格とは>ー地方税法341条
「固定資産税の価格 適正な時価をいう。」 

 

 では、この「適正な時価」とはどのようなものか、平成15年6月に最高裁判決が出されています。

 

<平成15年6月26日最高裁判決>
「適正な時価とは、正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格、すなわち、客観的な交換価値をいうと解される。したがって、土地課税台帳に登録された価格が賦課期日における当該土地の客観的な交換価値を上回れば、当該価格の決定は違法となる。」

 

 この最高裁判決の最大のポイントは「客観的な交換価値」を上回ればその価格は違法となるというものです。

 

 ところで、固定資産税の価格が「適正な時価」であるべきことは当然なのですが、これが「交換価値」で良いのかとの疑問もあります。

 

 最高裁判決ですので大きな声では言えませんが、昔から、固定資産税の「適正な時価」=「使用価値」という見解がありました。

 

 そもそも固定資産税は、固定資産(土地、家屋及び償却資産)の保有と市町村が提供する行政サービスとの間に存在する受益関係に着目し、資産価値に応じて、所有者に対し課税される「財産税」なのです。

 

(以上です)