朗読劇『私の頭の中の消しゴム 10th letter』で大切な人を思う | 拝啓、ステージの神様

拝啓、ステージの神様

ステージには神様がいるらしい。
だったら客席からも呼びかけてみたいな。
観劇の入口に、感激の出口に、表からも裏からもご一緒に楽しんでみませんか。

拝啓、ステージの神様。

たくさんの手紙が届いているんじゃないでしょうか。

 

もう10回目になる公演だ。

これまでさまざま組み合わせで上演されてきた朗読劇『私の頭の中の消しゴム 10th letter』。

 

この作品こそ、観る年齢、観るタイミングによって、刺さり方が激しく異なるのではないだろうか。

自分を取り巻く環境、例えば恋人がいるのか、結婚しているのか、

娘がいるのか、介護経験があるかなどなど。

もちろん、そのどれに当てはまらなくても、作品の中の薫と浩介の

愛情とせつない運命に涙せずにはいられない。

2001年にテレビドラマ「Pure Soul~君が僕を忘れても」が放映されたときは、まだそれがドラマらしい設定……のような捉え方だったと記憶している。つまり他人事よりももっと非現実的なものとして、というような感覚だった。

2005年にはそれを原作とした韓国映画「私の頭の中の消しゴム」が公開され、大ヒットを飛ばし話題になった。

話題になったことで、ドキュメンタリーや映画、ドラマ、さまざまな場面で若年性アルツハイマー型認知症は知られることになった。

この朗読劇は、薫と浩介を何組かの出演者が、日替わりで演じている。私が観たのは、

加藤和樹さんと村川絵梨さんの組み合わせ。

お2人とも過去の公演にも出演されていて、それぞれ今回とは違うパートナーで演じている。

ストーリーがわかっていても、この2人の運命に逆転がないのか、あって欲しいと誰もが願ってしまう。
静かな会場の、舞台上にも客席にも、洟をすする音が響いた。

涙をぬぐう気配がした。

特に男性がこらえきれずに涙している気配が強かった。
 

日記や手紙が物語の軸として出てきたからだろう、

大切な人に手紙を書きたくなった。

大切な人からの手紙を読み返したくなった人もいるかもしれない。

絵が好きな人なら絵を描きたくなっただろう。

写真を見返すのもいい。

 

大切な人、大切なものを、大切にしたい。
この作品はきっとこの先も観た人をそういう気持ちにさせてくれるに違いない。

 

 

 

 

<公演日程>

2018年4月27日(金)~5月6日(日・祝)

よみうり大手町ホール

 

2018年5月12日(土)~5月13日(日)

サンケイホールブリーゼ