東京国立博物館 やまと絵展 その3 番外編
東京国立博物館の本館の常設展で、特別園の「やまと絵展」に合わせて特集が開催されています。
場所は本館2階の7号室から8号室あたり、特別2室も使われています。
特別展に負けず劣らずの作品の品揃え、この前の投稿の《武蔵野図屏風》も同じ特集だったんですが、現在の展示中の作品もとてもいいのでご紹介したいと思います。
展示は12月3日(日)まで、「やまと絵展」と同じタイミングで終了します。
■作品紹介
●深江芦舟 重要文化財 《蔦の細道図屏風》江戸時代 18世紀 六曲一隻
▼部分
キャプションによるとこれは、「伊勢物語」の東下りの段の一場面を描いたもの。
東国へ向かう、心に傷を負った男性が、東海道の難所の駿河国の宇津山で、見知った修験者とばったり出会い、都に残した恋人へ手紙を託すところらしいです。
登場人物は皆、後ろ姿。先には蔦の細道を前にして寂寥感が出ているとのこと。
抽象的な風景と、衣の緑と散りばめられた赤い色が、雅な雰囲気を出していますね。
深江芦舟は江戸時代中期の琳派の画家。尾形光琳の門人ともされています。
●伝俵屋宗達 《桜山吹図屏風》江戸時代 17世紀 六曲一双
▼右隻 (右側)
▼左隻 (左側)
▼部分 (右隻)
丸い緑の色調と、桜と山吹の花が入り組んで複雑な構図になっています。
それに色紙が散りばめられていて、デザイナー宗達の腕の見せ所ですね。
花の鮮やかな描写。それに対して、緑の平面のコントラスト。
また樹木のリズム感ある配置。大胆で複雑な構図に、それぞれがマッチして、いつまででも見ていたい作品になっています。
●筆者不詳 重要美術品《柳橋水車図屏風》安土桃山ー江戸時代 16ー17世紀 六曲一双
▼右隻 (右側)
▼左隻 (左側)
▼部分 (右隻)
▼部分 (左隻)
右隻(右側)の上には月が銀で描かれています。
月に加えて柳、橋、水車などがあって、これは昔から和歌に歌われてきた、京都の宇治の風景を想像されるそうです。
右側には、大胆な曲線による橋が描かれています。柳の枝が細いことから春の景色。
それに比べて。左側には直線の橋があって、柳の枝も青く太くなっています。そのことから画面は夏の景色。
柳の幹の曲線に、建造物である橋の直線がうまくマッチして、面白い画面構成となっています。
●伝俵屋宗達 重要美術品《扇面散図屏風》 江戸時代 17世紀
▼部分
扇屋さんだった宗達の作品。
一つ一つの扇のデザインがとっても素晴らしいと思います。
方向も上下反対にしたり、遠景にしたり、クローズアップして大胆にトリミングしたり。
構図も扇ならではの構図もあったり、現代の作品でも通用しそうですね。
まさに琳派の祖ですね。
「やまと絵展」に入らなくても、これらの作品は常設展で見られます。
多分、「やまと絵展」ほどには混んでいないでしょうから、画面を独り占めですよ。
よかったらぜひ。