山川秀峰(1898ー1944) 《婦女四題》 1927年 木版
東京国立近代美術館蔵。
今日の一枚のアート。(1枚じゃなくて1組だけども)
東京、竹橋の国立近代美術館の常設展で展示されていました。
新版画というジャンルの作品です。
●《婦女四題》
■新版画とは
乱暴に言ってしまうと、明治30年頃から昭和にかけて作られた木版画。
浮世絵と同じように、画家、彫師、摺師と作業を分担して作品を制作しています。
最近の川瀬巴水の人気の高さはすごいですね。
吉田博、橋口五葉、伊東深水などの作家がよく知られていると思います。
●《婦女四題 秋》
季節ごとのファッションと、女性の髪型、仕草などをテーマにした連作のうちの
秋のテーマの作品です。
モダンガールっぽい髪型の女性。
背景には落ち葉が舞っています。
赤いショールの下には、トランプ柄の羽織が。
帯も斬新なデザイン。
黒い襟元とストライプの着物。まるで黒のVネックのTシャツ、その上に細かいボーダーのシャツを着ているようです。
髪型も含めて、1927年(昭和2年)とは思えない、いまでも通用しそうなコーデですね。
▼部分
背景の枯葉とトランプの柄や関連性がありますね。
女性の唇の赤が効いていますね。目元も妖しくっていい感じです。
当時は、三越や高島屋、大丸などの有名百貨店が季節ごとに新柄のファッションをポスターなどで表現。女性雑誌がない頃、もちろんインターネットもない頃は、そうしてファッションが作り出されていたのですね。
山川秀峰もそうしたものを描いていたそうです。これもそんなところから、発生した作品とのこと。
■山川秀峰とは
明治31年(1898)京都 ー 昭和19年(1944)東京
1898年京都府生まれ。
幼い頃から東京に移り住みます。
鏑木清方に学び、伊東深水、寺島紫明と三人で「清方門下三羽烏」と讃えられたそうです。
帝展にも出品し、美人画の画家として活躍されました。
■他の3作品
●《雪もよい》
●《赤い襟》
●《たそがれ》
どの作品も髪型、着物と帯の取り合わせが俊逸ですね。
でも本当に大切なのは、アンニュイな女性たちの表情。
これを見て、当時の女性は仕草などを参考にしたのでしょうね。
この常設展は今度の9月10日(日)まで。今日も含めてあと4日です。
最後までおつきあいしていただきありがとうございました。