上村松園(1875-1949) 《焔》 1918年 @東京国立博物館
今回の国宝展の2部 \東京国立博物館の150年/ に出ていないので、とりあえずご紹介。
「源氏物語」の中で、光源氏を恋い焦がれるあまり、生き霊となってしまった、六条御息所を描いた作品です。
●上村松園 《焔》
今回の国宝展の第2部に出品されていると思ったのですが、実は展示されていませんでした。
この国宝展のため、東博の本館にあった国宝室が、「未来の国宝」に企画変更。その一回目が国宝展2部の最後に展示して、撮影OKの《見返り美人図》。
そして2つ目の紹介作品が、この上村松園の《焔》でした。
■僕的作品案内
●部分
何しろ、生き霊になってしまった六条御息所を、美しく妖しく描かなければならないのですから、チョー難しい話ですよね。
髪を口にくわえています、どうしても性的な意味を暗示させてしまいますよね。
肝心の目の瞳には、金泥を入れて描いているということ、写真ではわかりませんが、暗い場所で、瞳が光っているのを想像すると、本当に妖しいですよね。
タイトルの《焔》燃えているのは、六条御息所の心でしょうか。
●部分
着物の柄に、蔦が絡まる藤の花。
そして蜘蛛の糸をモチーフにしています。
これは六条御息所の心を表していますよね。
蜘蛛の糸、藤の蔓。絡め取られているのは光源氏ではなく、六条御息所自身でしょうね。
松園の代表作の一つ。
《序の舞》や、《母子》などの代表作もありますが、個人的にはこの女性像が好きです。
六条御息所の愛の深さと、その悲しみと燃えるような嫉妬を、妖しい美しさを持って描き出す。その表現のさじ加減が丁度いいですよね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。