日本の中のマネ 展  @練馬区立美術館 東京都 | akki-artのブログ

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アートや建築、ファッションなどなど。美術館やギャラリー、街の風景など、キレイと思うものをあれこれと。

日本の中のマネ 展 を見に、西武池袋線の中村橋へ。

中村橋の駅から歩いて、4〜5分。練馬区立美術館があります。

 

マネの展覧会。

実際とってもアカデミックな展覧会。

お勉強になります。

普通には、一番の売りは日本にあるマネの17点の油絵、パステル画

のうち、7点がここで見られること。

 

でも僕的には森村泰昌と福田美蘭。

この二人の方。気合が入っている感じですw。

 

なお展覧会場内は撮影は禁止でしたので、ほとんどの作品の画像はリーフレットからコピーしてトリミングしました。

 

なお、2階の会場に入る時、チケットの半券を見せる必要があるので、それをすぐ取り出せるようにね。

 

 

 

●会場入口 2階に向かう階段付近

 

マネ展 看板

 

看板はこんな感じです

 

 

 

●リーフレット表面

 

石井柏亭《草上の小憩》部分 1904年 

東京国立近代美術館蔵

が使われていますね

 

 

 

●リーフレット裏

 

福田美蘭《帽子を被った男性から見た草上の二人》部分

1992年 高松市美術館蔵

 

 

1階会場

 

まずは1階から

 

入口にマネの版画の作品が、たくさんコピーされているゲートがあります。

 

 

例えばこんな作品が、

 

当時のパリに現実にいる高級娼婦を描いてスキャンダルを起こした《オランピア》の版画。

アーテイストにとって「スキャンダル」って褒め言葉?

 

 

《ギタレロ》の版画

元はスペインの歌手の肖像画、サロンに初入選した作品

 

 

 

 

■ 第1章 クールベと印象派のはざまで

 

この展覧会の流れとして、

最初は、「マネってどんな人?」

という質問について、主に印象派の作家の作品を並べて答えています。

 

クールベからモネ、ピサロ、シスレー。

それから、セザンヌ、ルノアール、カサット、ドガと並んで行きます。

この辺はアーティゾン美術館みたいですね。

 

 

●クロード・モネ

 

《アンティーブ岬》1888年 愛媛県美術館蔵

リーフレットから

 

 

 

●メアリー・カサット

 

《マリー=ルイーズ・ヂュラン=リュエルの肖像》

1911年 吉野石膏コレクション

リーフレットから

 

「マネってどんな人?」という最初の質問の答えは

マネは印象派のボス的な感じで語られるけど、印象派ではない人。

印象派の作家の作風は影響を受けたけど、それとは違う道を行く人、

 

という答え。

 

僕は彼は天然で、女好きでありながら、妻を愛する人。他人から好意を持って迎えられる、都会的で外交的な、好人物だったと思うんですw。本当は知らんけど。

 

 

■ 第2章 日本所在のマネ作品

 

日本に17点のマネ作品のうち7点がここに揃っています。

画像がないものでも《サマランカの学生たち》ポーラ美術館蔵、《イザベル・ルモニエ嬢の肖像》吉野石膏コレクションなど、興味深い作品がいっぱい。

 

1階にはマネの版画もあります。

 

版画ではさっき紹介できなかった、玄関のゲートにコピーされていた作品を、僕が撮ったものを2点並べてみました

 

 

 

《ローラ・ド・ヴァランス》

 

 

スペイン、マドリッドの王立劇場付属バレエ団のプリマドンナ

の「、ローラ・ド・ヴァランス」の肖像画を元にした版画

 

 

 

《悲劇役者(ハムレット役のルヴィエール》

 

 

ハムレットのハマり役の役者ルヴィエールの肖像画を元にした版画

 

 

2階会場

 

ここで階段を登って2階に行きます

 

 

●マネ

《散歩(ガンビー夫人)》

 

1861-1862年 東京富士美術館

©️東京富士美術館イメージアーカイブ/DNParatcom

リーフレットから

 

晩年、療養中に描いた作品。

散歩という題名から考えると、当時のパリやフランスの典型的な女性を描いた作品とのこと。

多分、日本にあるマネの作品のうち一番有名で人気のある作品。

 

 

 

■第3章 日本におけるマネ受容

日本にはまずは文学から紹介されていますとのこと、

森鴎外の資料とか、明治時代の新聞とかあります。

 

でも作品を見たいですよね。

 

●石井柏亭《草上の小憩》

1904年 東京国立近代美術館蔵

 

石井柏亭 草上の小憩

 

石井柏亭は明治の画家、並びに著述家。

見るからに、マネの《草上の昼食》のオマージュ

リーフレットから

 

 

●安井曾太郎《水浴裸婦》

1914年 アーティゾン美術館蔵

 

安井曾太郎 水浴裸婦

 

作家がヨーロッパで留学中に描いたもの。

ルノアール、セザンヌの影響があり、

背後の処理にマネの影響があるという解説。

 

リーフレットより

 

 

他にも気になる作品として、片岡銀蔵《融和》岡山県立美術館蔵、小磯良平《斉唱》兵庫県立美術館蔵。熊岡美彦《裸体》茨城県近代美術館蔵、などが並んでいます。

 

 

■第4章 現代のマネの解釈ー森村泰昌と福田美蘭

 

ここではこの二人の作品がこれでもかと並んでいます。

僕的にはここが、この展覧会のクライマックス、

 

 

●森村泰昌《肖像(少年1.2.3)》1988年 東京都現代美術館蔵

 

森村泰昌 少年1、2、3

 

《笛を吹く少年》のオマージュ

 

 

 

他にも森村泰昌の作品がズラーっと並んでいます。素焼きの招き猫に着色した《まねき猫 肖像(双子)1988》。これって《「マネ」き猫》。

 

画家モリゾをモデルとした《菫の花束をつけたベルト・モリゾ》のオマージュの《肖像(娘 Ⅱ)》和歌山県立近代美術館蔵。

《フォリー=ヴェリジェールのバー》をもとにした《美術史の娘》のシリーズ 大赤中之島美術館蔵。

《オランピア》をもとにした《モデルヌ・オランピア》作家蔵などなど。

 

それから

「セルポートレート 《コトバ、着せ替えごっこ》」

1から4のシリーズは必読。必読というのがネタバレですw。ちなみにシリーズの4は読めませんでした。外国語なので。

 

 

 

それにも負けず劣らずが福田美蘭。

 

 

●福田美蘭 《帽子を被った男性から見た草上の二人》1992年 高松市美術館蔵

 

マネの《草上の昼食》のオマージュ。

マネの作品の右側の帽子を被って寝転んでいる男性から見た

作中の左側二人の画像、

 

それから福田美蘭は新作をいくつも出されています。

同じ作品をモチーフにした《一富士二鷹三茄子》。

 

それから《LEGO Flower Bouquet》。

レゴで作った花はとても綺麗、今年この作品を公募展に出すそうですよ(日展ですかね。知らんけど。)だから途中で展覧会から撤去されるらしい。

 

《つるバラ「エドゥアール・マネ」》

マネを名前にしたバラの品種があるそうですね。インターネットで検索するとバラの名前が出てくる。マネの絵とバラの絵を組み合わせて描いています。

 

それから興味深いのは

《ミュージーアムショップのマネ》

マネのグッズをミュージーアムショップで作者は集めて見たら、本当に少ないことに気づいたそうです。だからそれを集めて描いたとのこと。

マネの目指した場所は、日本の大衆が美術館のお土産に求めているモノとは違うんだって福田は言っています。なるほどですね。

 

 

でも最大の見所。この展覧会最大見所は

 

●福田美蘭《ぜレンスキー大統領》2022年 作家蔵

あのウクライナの大統領の肖像画が大画面に広がっています。

 

画像はないけど

彼女の解説文を読むと、

僕の解釈だとマネが生きていたらこんな絵を描くのではないか?と思います。

 

もし、この作品がずっと残っていたら、今から何千年も経って、21世紀が中世になることがあれば、この《ぜレンスキー大統領》は昔のフランスのアカデミーのヒエラルキーの一番上のジャンル、歴史画になるんじゃないかなって思いますw。知らんけど。

 

作品の構図は、奥行きのない画面で、まるでテレビやリモートで話しかけてくるようにゼレンスキー大統領は僕たちを見つめています。

「君は今、何をしているの?」と問いかけてくるようです。

 

森山泰昌。福田美蘭。この二人。

 

そして《ぜレンスキー大統領》。

 

見に行ったらどうでしょうか?

レゴの作品があるうちに。(一応10月13日頃らしいけど、、、)

 

そのあと日展に見にいくのも良いかも。

なお審査に落ちたらまた作品はこの展覧会に戻ってくるらしいです。

 

やるね。