弱いヒーロー

テーマ:



原題:  약한영웅 CLASS1(韓国)

    全8話 2022年

監督:ユ・スミン / キム・ジンソク

脚本:ユ・スミン


  キャスト

ヨン・シウン / パク・ジフン

アン・スホ / チェ・ヒョンウク

オ・ボムソク / ホン・ギョン


  あらすじ

高校に通うヨン・シウンは、全国1位

になるほどの秀才だが、勉強以外に興

味がなく、友人もいない学生生活を送

っていた。

成績トップのシウンをよく思わない不

良グループのヨンビンはシウンに嫌が

らせを始めるが、全く動じないシウン

への嫌がらせはエスカレート。

クラスで浮いた存在のシウンに興味を

持ったスホはシウンにつきまとうよう

に。

そんな中、国会議員を親に持つ、気の

弱い青年ボムソクが転校してくる。

ヨンビンは事情を知らない転校生のボ

ムソクを使って、シウンに嫌がらせを

するが、失敗しヨンビンは転校するこ

とになった。

ボムソクと和解し、シウン、スホ、ボ

ムソクは次第に友人となっていく。

平穏な日々を送る中、シウンによって

転校させられたヨンビンは、逆恨みに

よる復讐をする為、チンピラのソクテ

を雇い、シウンを襲うが、スホ、ボム

ソクの助けがあり、返り討ちにしてし

まう。

しかし、ソクテの兄貴分にあたるギル

スはシウン達に、ソクテの慰謝料を要

求する。追い詰められたシウン達は、

ギルスが薬や違法なオンラインサイト

絡みの高利貸しをしている証拠を掴み

警察へ相談することに。

ギルスを罠に嵌める為に動く中、スホ

とボムソクが拉致されるが、ソクテの

裏切りと警察によってギルスは逮捕さ

れる。

学校ではギルスの逮捕に貢献したシウ

ン達が一目置かれる立場に。

しかし、この事件をきっかけに、ソク

テの妹分だったヨンが3人に加わる事

で、バランスを崩し、疎外感を感じた

ボムソクはシウン、スホに背を向け、

クラスの不良グループとつるむように

なる。

スホは、金持ちのボムソクにたかる不

良グループからボムソクを抜けさせた

いと、動くがボムソクはスホを拒絶。

溝が深まる2人の間で悩むシウンだが、

スホを倒したいボムソクは、ヨンビン

と手を組み、スホを呼び出し、最悪の

結末を迎える。


評価

★★★★☆


  感想

脚本、監督はユ・スミンさんですが、

クリエイティブディレクター(製作総

指揮)が『D.P脱走兵追跡官』の監督

ハン・ジュンヒさんという事に納得。

始まりは、重さよりも高揚感のある内

容なのに、ラストに向けて、重く陰鬱

な雰囲気になっていく感じは『D.P』

臭をすごく感じます。

人間関係を上手く構築出来ない不器用

な10代の危うさや、学生という限られ

た枠の中、逃げられない状況で葛藤す

る姿と、〈友達〉とは何なのかを上手く

描いている作品でした。

勉強以外に興味が無く、人との関わり

を持たなかったシウンが、友達を作る

事で、抑えていた感情を出せるように

なり、成長していく過程は良かったと

思います。

しかしながら、結末はなかなかダーク

でした。

養父に虐待され、前の学校では虐められ、喧嘩の仕方や加減を知らないボム

ソクは、仲間を雇い、意識不明の状態

になるまでスホを殴ります。

元々、友人だっただけに、本心はスホ

に認められ、友達に戻りたいと思って

いたはず。

スホの友人としてのアドバイスがボム

ソクには、全て命令されているように

感じたのでしょう。仲直りする方法が

わからず、謝る事は負ける事のようで

素直になれないボムソクが、後には引

けない状況に堕ちていく所に、妙なリ

アルさを感じ、なんとも言えない気分

になります。

通常、ありきたりのヤンキーモノや青

春ドラマなら、スホがリングで殴られ

たあたりで、ボムソクが謝るか、死ん

だと見せかけて生きていて、仲直りし

てハッピーエンドなんでしょうが、そ

うならない所に、この作品の闇を感じ

ます。

シウンはボムソクの親の根回しで、都

市部の高校には転校出来ず、地方の底

辺高校に転校となり、スホは意識不明

の状態から目が覚めたのか、その後の

生死は不明のまま。ボムソクは親が、

逃がすように海外留学へ。

理不尽なイジメから始まり、自ら望ん

で敵対したわけではない相手から追わ

れ、逃げられない状況に堕ちていく様

は、なんとも後味の悪い作品でした。

病院のベッドで目を覚まさないスホに

対して、シウンはどんな想いだったの

だろうと考えると胸が痛くなります。

復讐の為に、シウンがキレてヨンビン

達を次々と、襲って行く様子は、冒頭

の優等生からはかけ離れた姿でした。

転校したシウンに向かって、父親は

「間違ってない」と言いますが、それ

まで、子育てを放棄し、放置されてい

たと感じるシウンは「いつから(自分

に)興味があったの」と尋ねます。

親としては、子供の事を放置したつも

りは無かったのでしょうが、子供の立

場からすると、成績以外は無関心のよ

うに感じていたのでしょう。

この、シウンと両親の温度差は親子関

係の難しさを感じます。よくドラマで

描かれてるのは

「両親はほとんど家に居ないけど、僕

の為に働いてくれているから大丈夫。」

という、きれい事です。

そこを、大人の都合の良いストーリー

にしない所も良かったな。

ラストはシウンが〈ごくせん〉みたい

な教室に転入して終わります。

ワンチャンSEASON2作れそうです。

総評としては、

ジャンル〈青春アクション〉となって

いますが、いやいや、〈青春ノワール〉

でしょ!という作品。

見終わった後、救いようのない虚しさ

が漂う重い作品。

で、私としては、こういう痛い所を、

都合の良いオブラートで包まない、え

ぐるような作品も好物でした。


〈追記〉

感情はリアルに描いていますが、物理

的には結構あり得ない設定かも。

シウン、やり過ぎ感ヤバいです。

特にラスト、尾崎豊ですか?スクール

ウォーズですか?昭和の工業高校てす

か?くらい暴れてましたが、他校であ

れだけ暴れたら先生来るし、ヨンビン

の通う高校の校門出た時点で、警察が

待機してる気がする。

まず、最初にヨンビンをタコ殴りにし

て、後ろの仲間の手にボールペンを刺

した時点で、どんだけ相手に非があっ

てもアウトだと思います。

そういう意味でいうと、全体的な流れ

が、シウンに都合良すぎて、

「いやいや、無いわ〜」

という感じは否めないかな。


〈追記2〉

スホ役のチェ・ヒョンウクさん。

まだ若い俳優さんですが、これからが

楽しみ。

〈ラケット少年団〉では、お父さんが

軍人で、バドミントンを続ける事に悩

む、真面目でおとなしい青年ナ・ウチ

ャン役。

〈D.P2〉では、前線基地で起こった

「プルコギ」の話で、どうせ言っても

信じてくれないと口を閉ざす兵士シン

・アフィを演じていました。

〈あいつは黒炎竜〉、、、気になる。

姑は「あんまり面白くないけん、見る

のやめたぁ〜」と言ってましたが、

ちょっと見てみようかな。


〈2025年4月29日追記〉

Season2(Class2)4月25日日から

配信始まりました。