花宵道中

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2014年 公開。

子役だった安達祐実さんが随分大人に。
当時、衝撃的な作品でした。

ストーリーはざっとで。
吉原で年季明けが近い花魁、朝霧は縁日で
半次郎という若者に出逢う。
朝霧と半次郎は互いに惹かれるものの、
朝霧は遊女である自分が男に気を許しては
ならないと忘れようとする。
そんなある日、馴染みの客である藤衛門が
半次郎を連れて店に来る。
二人は知らない素振りをしているが藤衛門は
その態度から顔見知りだと気付き、半次郎の
目の前で朝霧を抱く。
朝霧を遊女と知った半次郎だが、朝霧への
想いは変わることなく二人は一夜を共に
する。朝霧は子供の頃、霧里に拾われて
遊女になったことを話し、半次郎もまた、
貧しい家で姉が遊女として売られたこと。
自身も苦労して職人になったことを話す。
そんな二人を知ってか藤衛門は商売相手で
ある半次郎に娘しのと所帯を持たないか
と縁談話を持ちかける。藤衛門は半次郎が
しのに手をつけたといい、断れない状況に。
その一方で藤衛門は朝霧を身受けしたいと
申し出た。
身受けされることになった朝霧は藤衛門の
家に来ていた。そこに半次郎もいた。
半次郎はなぜ朝霧を身受したのか藤衛門に
問うと、遊女を身受けして取引相手に抱か
せれば商売道具になる。揚屋に呼び出して
接待するよりは安くつくと話し、以前身受け
した霧里は直ぐに病で死んでしまった為に
元が取れなかった。身受けした女もまた、
商売道具だと話した。それを聞いた半次郎
は怒りで藤衛門を刺し殺してしまう。
霧里は半次郎の姉であり、また朝霧を拾っ
た恩人でもあった。
半次郎と朝霧はその場から逃げ出して、
追われることに。
二人は会瀬を重ねていたお堂に隠れるが
半次郎は捕まり、朝霧は遊女屋で軟禁と
なるが半次郎が打ち首になった知らせを
聞き、自ら命を絶った。

吉原を描いた映画は何点かありますが
「さくらん」「吉原炎上」あたりが
有名でしょうか。どちらにしてもハッピー
エンドとはいかない。吉原を舞台にして
いること自体が死亡フラグなので、見る前
から悲劇決定なんですが。
つい見てしまいました。
時代劇を腐るほど見てるので話はベタベタ
でした。これが暴れん坊将軍とか金さん
なら藤衛門が悪代官と・・・なんて展開
で、半次郎が朝霧の年季明け待って
ハッピーエンドなんだろうなぁとか思い
ながら見ました。
ストーリーの展開としては分かりやすく
特筆する点はありませんが、朝霧の設定
から、安達祐実さんだからこそ成立する
作品のような気がしました。
朝霧は小柄で幼女のような風貌を持ちなが
ら花魁としての妖艶さと凛とした芯のある
女性として描かれています。
子供過ぎても大人すぎても朝霧は成立しな
いと考えると安達祐実さん以外は無いかな。
残念なのは設定は面白いのに何一つ意外な
展開はなく、まぁ、そうだろうなと言う
ところ。半次郎の姉が霧里なのも、朝霧に
身の上話をした展開でバレバレで、藤衛門
が、霧里の見受けをした話で細かい内容は
別として大まかな筋は見えてしまいます。
時代劇に疎い方や、水戸黄門や必殺仕事人み
たいなイメージの方には、とても見易い
作品かと思います。
時代劇ならではの切なさや、時代劇だから
こその純愛がかえって新鮮かもしれません。

吉原と言うと華やかな衣装等を想像しますが
全体にそれほど派手さはありません。
その分、後半の朝霧の花魁道中の姿が
一層華やかで際立ちます。

ベタな悲恋モノですが、とても良かったと
思います。

〈別記〉
半次郎役の渕上泰史さん。
最近だとモトカレマニアの駒込ですが、
全く雰囲気が違います。
あまり注目されてる俳優さんではありません
が、とても大人の色気のある俳優さんなので
これからの露出が楽しみです。

特筆は安達祐実さん。
この作品で一つ幅が広がったようですが
台詞の感じにまだ、幼さを感じます。
が、この作品ではその幼さとのギャップが
かえって作品に合っていて、やはり彼女
無しでは成立しない作品かと思います。
最近では死役所で市村の奥さん役でした。
子役からずっと映像で見てきたオバサン
としては娘を見るように応援しています。
これから、もっと年をとってどんな女優さん
になっていくか楽しみです。



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