ずーっと前の子供の頃に見たテレビ番組で、今でも時折思い出すものがある。
 
 
ウルトラマラソンの番組だった。
ウルトラマンではない。
ウルトラマラソンだ。
42.195kmより長く走るマラソンだ。
 
 
 
 
ウルトラマラソンのすごい選手がいる。
2番目を走る人にとんでもない差をつけて、スタートからずっとダントツトップで走っている。
 
そのダントツの選手があまりにもしんどくて「もう無理です。棄権します」と言う。
まわりで見ている人はみんな「?」と思ったそうだ。
 
 
足などあちこち痛いのも分かる。
でも、棄権するほどではないのは 走る様子と 本人の顔色でよく分かる。
痛いけど、スーパー快調だ。
いきなり具合が悪くなったわけではない。
 
ダントツトップすぎて、なんならしばらくそこで休憩しても大大大余裕なくらいだ。
 
 
その選手だけ「もう無理」と思っていた。
 
 
 
そして、本人はしんどくてずっと「もう無理」と思いながら、しかし監督だったかコーチだったかの励ましのおかげもあって、ダントツトップのままゴールまで走り切った。
(棄権させてもらえなかった)
 
とんでもない記録をたたき出しての優勝だ。
圧倒的な走りだった。
最初から最後までぶっちぎりだった。
 
 
というエピソードだった。
 
 
 
 
そういう番組を見て、私は
「そうか。必死でなにかをやっていると、こういうこともあるんだな」
と思った。
 
 
本当に無理なこともある。
本当に無理な、絶対に休んだほうがいいこともあるし、私はうつ病をやったもんだから「無理はしない」になりがちなんだけど、
「本当に無理」というのが自分だけの思い込みのこともある。
 
全力で取り組むあまり、自分の状態が 自分では分からなくなることもある。
 
しばらく休んでもいいし、走るのをやめて歩いてもいいから、とりあえず棄権だけしないでいる。
ナメクジの歩みのように思えてもとりあえず進む。
それで充分すぎる結果を残せるときもある。
 
自分の思う及第点には至らなくても、みんなにとってはとんでもないステキな形になることもある。
 
 
 
 
そんなエピソードを時折思い出すのだ。
素晴らしい教訓として胸に刻んだわけではない。
自分にそれを課す気もない。
誰かにオススメしたいわけでもない。
 
でも、こういう走りをした人がいることを たまに思い出すんだ。
 
 
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追記:
思い出した。
インタビューでコーチが「この人はとんでもない走りをするのに メンタルがとんでもなく弱いんです」と言っていた。
コーチはそれを分かっていたんだね。
 
 
 
ウルトラマラソンは私も1度だけ走ったことがある。
戸田・彩湖マラソンだ。
要綱を見直したところ71kmの大会だった。
 
私は42.195kmをちょっとすぎたところでギブアップした。
 
同じコースをグルグル周回するタイプだったので、どれだけ走っても景色が同じなのは 正直キツかった。(すまん)
私は景色に元気をもらっているようだ。
 
差し入れコーナーのドリンクと食べ物が豊富だったのはとてもうれしかった。