今日の夕方からは雨も収まってきています。給水作業の後、宝珠山地区を見回ってきました。小康状態になると多くの方が歩いておられます。ひとつは田んぼの様子を見られている農家です。水害のときはよくニュースで田んぼを見に行った人が行方不明になられたというのを聞きます。農家の方々には本当に気になるのですね、普段でさえ毎日早朝からぐるりを見て歩かれていますから気持ちはわかります。あのようなニュースを聞くたびに村で見かける農家の皆さんの姿とオーバーラップするので他人事ではないです。

 他には区長さんや集落の長老的な方です。道路や河川の土手、畦道等生活に関わる環境全体を見て回られています。お話を聞いていると実に的確に状況を説明されます。中には家の前に植わっていた長寿の樹木が水に流されたとの話もありご自分でビデオカメラに収めた方もいました。本当に残念そうでしたので撮影するというのもどのようなお気持ちだったでしょう。

 ひとつひとつのお話が今すぐお知らせすることよりも今後の復旧にどう生かしていくかの話が多かったのですが、2年前の佐用町の経験が蘇ります。これからは身近な地域や全国のネットワークなどの複合化が益々必要な時代になりました。


 ちょっとしたことですがiphoneやSkype、Ustreamと同じように使えると便利なのがテレビのデータ放送です。わたしもついつい面倒がっていましたがうちのテレビでは「d」と書いてあるところを押すだけで見れるものでした。後はボタン操作で触ってみると付近の川の水深がどれぐらいになっているかとか、ずばり東峰村の天気予報が見れたり身近な情報があります。

 今回はいろんな意味で使える道具がいかに使えるのか、を実際の災害経験で模索する機会を与えられました。パーソナルに使う道具と公共で使う道具は情報の出し方や発信時期、出すか出さないかまで含めて全然違います。これはまさにニュースデスクの役割でもありますが大雨や災害の当事者ということではテレビ局の報道とはまた違うデスク業務でもあります。

 わたしたちは阪神淡路から佐用町や東日本などの様々な経験をいっぱいしてきていますがやはり当事者としての情報管理はそれぞれの地域独自で多くの課題、必要なコンセンサス、責任能力等検討すべきものが色々とあります。難しい課題はありますが基本は住民自治精神を極めることだと感じます。9月に予定している「東日本の今」30元中継を意義あるものにするためにも今回の経験がつながるようにしていくことが今ある課題です。


 「新しい公共」という概念が最近よくいわれています。公共は随分前からあるので「新しい」公共のことです。とうほうTVは「新しい公共」を創ることがひとつのお役目でした。

 ICTを活用して地域活性化をするには?という総務大臣懇談会が昨年あってメンバーとして何度も総務省に通いました。そこでも「新しい公共」ということは言われました。わたしはすでにそれ(新しい公共を創ること)をやっていましたので様々な発言のかたちで表現しましたがなかなかわかりにくいようです。何故なら「それはまだ無い」と皆さんが思い込んでいるからです。「もうある」のに。しかしあるとはいっても芽生えでありまだまだこれからです。

 今日も「新しい公共」に深みが増しました。とうほうTVは村民スタッフの皆さんで支えられています。今は完全ボランティアです。村民スタッフは総勢2500人の村民がとうほうTVに出て、TVを活用するためにサポートしてくれる人です。サポートするからには当然とうほうTVのことをよく知らないとできません。1年半前に開局して以来、とうほうTVには実に多くの村民に出てもらっています。その中で比較的早くから積極的に関わってもらっている方々に村民スタッフをお願いしています。

 当初はわたしと役場の2名を含む6人で集まり企画会議をしてコミュニケーションをとりながらすすめてきました。そのうちに役場にもう一人、民間から70代、80代のお二人が、20代の農家の後継者が、・・と加わり週に1回企画会議として村の出来事や自分たちの経験、身近な出来事、仕事上の企画などなど話してきました。そして収録のスタジオでは実に様々な世代、色々な業界、分野の人達が交流し、とうほうTVがごく普通に公の場になり、そこで話し合われたことが企画になり、事業になり、番組になってきています。

 そういう具合に村の日常が自然と番組化する流れが出来てきているのです。今後もっと多くの村民のみなさんが関わってくれるようになるとこれはもうしっかりとした「新しい公共」です。今朝も窯元の成美さんがひょこっと別の用件で寄ってくれたのですが30分程企画会議に参加してくれました。すると今までとは全然違う話しや話題が聞けてまた新たな発見がいっぱいありました。一人増えるだけでこんなにも企画会議が豊かになるのです。そしてここで話合われたことが番組化され、それを村民が見て共有し、その課題が次につながる・・・。新しい公共はこうして村民の知恵を集め、なごやかに議論し、情報共有して、課題を解決する動きになっていきます。

 この流れがまさにテレビという生活道具の最も強いところなのです。とうほうTVというテレビを使い切るのは「村民スタッフ団」という新しい公共を創るみなさんです。


 今日は朝からとうほうTV企画会議でした。朝一番で博多から帰って来ましたがまだ国道211号線は通行止めで小石原地域の村民スタッフは今週もお休みにしました。が、一人いつもの声がするので「あれ?!」と思っていたらチンゲン菜のハウスから伯夫さんがSkype出演??!でした。皆さん最近はSkype会議は慣れては来たもののハウスからの参加は流石に伯夫さんです。結局作業に入ってしまったら話しは聞こえないので顔を出しただけでしたがこのチャレンジ精神が素晴らしいです。

 地域ICTプロデューサー合宿でのICTの使い方に関しては今日の伯夫さんのような実生活に即した有効な使い方、発想の大切さをプロデューサーとしてどう組み立てていくかを参加者一人一人の現場に寄り添って実現可能な計画を創っていきます。「○○○だからできない」ではなく「○○○すればできる」プロデュースをずっとしてきました。

 番組も提案されたものは必ず放送するための企画会議をします。そういう力をわずか2泊3日でつけてもらうにはこの東峰村の環境と、とうほうTVの膨大なノウハウが有効なのです。そして今日はこの後にKBC九州朝日放送の方々との企画会議もやりましたが既存の民放、NHKの皆さんとも総合扶助精神でお互いメリットがあるやり方を産み出して行きます。ネット配信から地上波番組の放送までをプロデュースする地域ICTプロデューサーの能力磨きは7/27-29です。まだ募集中です。

元気起こしメディア合宿、詳しくはこちらで。

 


 現在2012年7月11日午前2時5分。地域の未来構想を練っているとこの時間は次第に頭が冴えてくる。今夜は筆もすすむ。実際は筆ではなくホワイトボードにボードマーカーを使っているが・・。地域ICTプロデューサーに必要な道具の1番目はパソコンでもカメラでもなくホワイトボードというのが岸本流プロデュース鍛錬の基本。しかもいつも部屋の中を歩いている。あちこちにA1版のホワイトボードが貼ってあるから。

 事業をはじめる前にしっかりと企画を立てること。それには手書きで自由に発想を描ける道具が必要。パソコンは機械に縛られて意外と自由に描けていかない。この段階はやはりアナログの世界、人間的な世界、手づくりの世界が圧倒的に強い。番組づくりも一緒。総合的な企画力をいかに発揮するか!そのために自分にとっていかなる環境が必要か?ここをとことん自分流で詰める。

 しっかりと企画が立つとパソコンやカメラ、スマホの出番は山ほどある。このあたりの発想方法が恐らく完全なオリジナルと感じる。道具が発達する中でいつもいっぱい試してきてやっぱり変わらないスタイル、30年近くやってきた方法。道具をもっとも使い切る能力もプロデュースにとても大切なもの。一見自由に発想しているとおもいがちだが身体がきちっと決まるかどうかが良い企画になるかどうか。良いスタートを切れるかどうかは身体感覚が一番よく知っている。

 頭と手先だけでできた企画は人の心に届かない。

@部屋中に貼ってあるホワイトボードはやっているうちにいつも真っ黒に!A1サイズはタテに2枚貼ると身長程になる。


 今月27日から2泊3日で行う元気興しメディア合宿第1弾 地域プロデューサー鍛錬編ではすでに地域のプロデューサーとして活躍される方々がICT(情報技術)を生かす力を身につけてさらにプロデュース力をパワーアップする合宿です。

 ICTという表現は本来ITと書いていたものにコミュニケーションの「C」が入ったものです。単なる技術としてのITから人間のコミュニケーション力が間に入って利活用するものだという意味が加わったとわたしは考えています。そしてこの考え方はわたしが30年余りやってきたことそのものなのです。今回の合宿ではICTを実際の暮らしに活かすということがどういうことで地域の課題を解決するためにいかに有効なのか、を明確にします。

 さらに参加者が実際の暮らしの現場で構想されてはいてもなかなか実現に向かえない「夢物語」を実現する事業にする具体的な事業計画を一緒に創っていきます。参加者一人一人の事業計画が完成するということです。「夢から現実へ」一人一人の地域プロデュースです。実際に地域づくりの事業をやっておられるならICTをどのように活用するとさらに広がりと深化がはかれるか、その事業計画を創ります。参加者自身の起業になり、ご本人の主体性のもとに構想をお聞きしながら恊働でプロデュースする経験をしていただきます。

 なぜそんなことができるか?、と疑問がありますか?答えはずっとそういうことをやってきた人間だからです。全国を歩いてきたのは過疎地域から都市部まで観光振興から高齢者福祉、子育てまであらゆる地域であらゆる課題をICTを利活用して解決してきたからです。そしてその集大成が現在住んでいる「2500人の東峰村」を拠点に全国ネットワークですすめている八百万人の相互扶助ネットワークです。テレビ局時代から住民ディレクター活動を通してよく言われていました。「岸本マジック!」、と・・。東峰村を訪れてくださる七人の侍の方々に秘伝を公開し、さっそく使い方をご自分の事業として体験していただくコースです。

元気興しメディア合宿の概要

 随分前にホームページをやめてしまってからとうとういまだにホームページが無いというのがプリズムの実態です。今は理由があります。東峰村に住み込み東峰テレビ局のプロデュースを始めてからは株式会社プリズムを出す必要がなくなってきたんです。今はすっかり東峰テレビ局のプロデューサーでいいのです。

 給料をもらっているわけではありませんが年間の必要経費(わたしが計算している分ですが)の5分の1程は何とか番組制作費や事務所経費等として村の予算を組んでいただいています。これは簡単な話ではなくこれをしてもらうためにも相当な時間とお金とをかけ約5年間ずっと誠実にやってきたのです。実はこのあたりのことを本当に地域づくりをやろうとしている方々にはお伝えしていかないといけないなあ、と感じています。

 成功事例には多くの失敗例が隠れています。またなかなか伝えにくい実際のプロセスがあります。ここを見せないで成功事例だけを見せられるとほとんどの人が簡単にやれそうに感じます。これは怖いことです。多くの地域づくりの本当の成功事例の背景に話されていない要のことがあります。あるのです。わたしが山ほど経験してきて今があるので自信をもって言えるのです。そしてその本音をしっかりとお伝えしながら本当にプロデュ−スするってどういうことなのか?についてお伝えします。

 さらにあなた自身が漠然と思い描いている構想や事業案を3日間かけて密着してとことん話しを聞きながらちゃんとした実現可能な事業案を一緒に創ることをやるのが「元気興しメディア合宿」の第1弾地域プロデューサー編です。

元気興しメディア合宿について

@数年前からとりあえずのプリズムホームページ

 

 


 有限会社プリズム時代のマーク。これはシールなんですが名刺や封筒にもこのマークが。iphoneの撮影の感じで暗めですが地の「白」は実は「真っ白」なんです。

 平成7年7月7日にテレビ局に辞表を出して自分では翌日から今の仕事を起業したわけですがその頃からソフトに関してはいつも時間とお金をかけてきました。名刺をつくる時、資金はほとんどなかったのですが膨大な時間とその頃では相当なコストをかけこれを創りました。当時は熊本が中心でしたからデザイナーは熊本では数本の指に入るデザイン会社のしかも最も感性豊かな女性デザイナーを選びお願いしました。

 この名刺は実は彼女の3案あったうちの最後の案でした。一つ目はわたしの話を忠実にデザイン化してくれたもの。2つ目はその主旨でデザインとしては違うパターン、そして3つめはそのデザイナー曰く「こんなのもあっていいのかな、って」。わたしは2つ目までの説明にほとんど耳に入らずに目は3番目をずっと見ていました。そして彼女の話しが終わるや否や、「これで」と3番目を指しました。彼女はちょっとビックリしてました。オマケでつくってきたようなものだったんでしょう、だいたい3択が業界の常識でしたからそのためにざざっとつくった感じがしました。しかしそのざざっとつくったのものがわたしのイメージにはぴたっと来ました。

 このデザインだけに今から15年前なんですがうん十万円をかけたのですその代わりこれがでてくるまでに彼女も相当わたしの話を聞いてくれました。今のわたしからすると今わたしがあるこの状態までもその頃に話していた程です。ソフトは時間もお金もかかるものです。そしてそれを証明するには膨大な時間とお金と誠実さが必要です。今も良いデザインだと感じます。

 ちなみに数年前からプリズムは有限会社から株式会社になったんですよ。多分多くの皆さんには知らぬ間に。名刺は手づくりになりました。時代は大きく変わりましたね。


 熊本から東峰村に帰りつつ夏の到来を感じていました。やっとです、やっと。わたしは夏は大歓迎。雨降る季節に撮影したちょっと変わった木と花、仲道歯科医院で答えを得て大行司駅の前に行ったらやはりそうでした。名前はもう忘れてしまいましたが薬局屋の養父さんが教えてくれた花でした。暑い時期に咲くとこれはこれでとても涼しい感じを与えてくれる花です。自然はうまくできているものです。


 特定非営利活動法人くまもと未来は発足から15年立ちますがやっと世の中にお役に立つ時を迎えました。

 6日から熊本で行われているアフリカ子どもの日は実は今年で20回を迎えます。熊本県ユニセフ協会が主催するこの催しは20年続いています。くまもと未来を設立して今年で12年、これまで熊本を中心に地域活動、社会活動の情報発信をサポートして来ました。アフリカ子どもの日も最初の年から副理事長の澤啓子さんがサポートして来ました。その話を聞きながらこの集まりはきっと大きな流れになると感じていましたが今回二日間しっかりと参加してよくわかりました。

 ユニセフというと世界遺産のような派手な活動や海外援助のことが知られますが熊本でアフリカの全部の国の半分が集まって行われるこのような意義ある活動は意外と知られていません。わたしたちはこの12年間、毎年使えるTVやDVD制作を通して応援して来ましたがそろそろ大きなうねりをネットワークする時期に来ているようです。今日もくまもと未来のメンバーはわずか4人(わたしも入れて)ですが11の分科会を手分けして全部収録しました。

 昼食は300人が一堂に会して地産地消でつくられたお母さん方の手料理をいただきました。本音で語られた様々なテーマの分科会でしたがまずは記録されないと何も伝わっていきません。記録しても発信されなければ宝の持ち腐れです。そこを一歩すすめるときです。数人で地道に永く活動して来たくまもと未来が世の中にお役に立つ時を迎えたと今日はひしひしと感じました。

@右からくまもと未来の澤啓子、岩木靖子、さとう正。