お星さま祭という福井神社の祭がありました。修験道の開祖、役行者にまつわる祭ですが集落の人達は五穀豊穣の祭とシンプルに考えておられます。郷土史を調べたり古老の話しを聞くと間違いなく英彦山、岩屋神社ともつながる修験道の由来の祭のようです。先日行われた隕石が降って来たと伝わる山の上に祀られている岩屋神社の4年に一度のこも替えという神事でも役行者が出て来ますが、修験道から来る不思議な世界は夢があって想像力を沸き起こします。100の理論より一人の感受性が勝る世界です。カタチになっている現象から解き明かすのは楽しい作業です。


 愛南町という町が愛媛県の一番南で西側にあります。豊後水道を挟んで九州の大分、宮崎に面する位置です。海の町ですが正直言って最近伺うまで全く知りませんでした。しかしこういう小さな町が今、元気です。まだ2回しかお邪魔してませんが凄い勢いを感じます。

 しかもその勢いとは裏腹に町の皆さんはのんびりとされています。住民ディレクター講座をやってはいますがマイペースです。がむしゃらに頑張っている人はいません。ここが今の「勢い」の背景だとずっと感じています。マイペースな人達が集まると大きなエネルギーになっていく。個別にみるとごく普通、でも集まると楽しみながらも大きな力になっていく「その地域にある本来の人間力」とでも言いましょうか。

 この力を引き出す環境、現場として住民ディレクター活動が有効なんです。まさにそういう場作りをやっているからです。しかしこれは経験しないと理屈では理解されません。頭でなくて身体全体でわかることだからです。

@外泊地区の石垣。海からの強風を防ぐためだんだん畑に積まれた石垣。


 番組づくりに必ず用意してもらうものベスト1はホワイトボードです。これがあるとないとでは進行が全然変わってきます。映像の前にまずはこれから表現するものの「見える化」です。昨日の愛南町でもまさにこれが大いに役立ちました。使い方は臨機応変ですが使って効率をあげます。


 ITで開拓!人、大地。

 このコピーは一般社団法人 八百万人の看板です。鍬や鋤、今でいうと耕運機やコンバインで大地を耕し稲を収穫していくようにスマホや携帯、FacebookやUstreamで大地を開拓していく人のイメージです。勿論ITでは大地を掘り起こせませんが大地を歩き回り人と接し、交流していくその出来事を内面で受け止めて広々とした生活空間に表現する道具としてITがあります。

 オフィスの中のパソコンだけではこれはできません。しかし東京に住んでいてもオフィスを飛び出し下町の祭に飛び込んでいったりアメ横を歩き回って都市の大地を身体ごとで感じ、人間の暮らしぶりを体温と共に伝えておられる人もいっぱいいます。身体を動かし大地を歩き回り、感じたことを表現することで土もコンクリ―トも越えたひとのネットワークが広がり列島という大地が開墾されていきます。場ができます。

 そしてそのつながりの知恵と行動で新しい地域の動きを開拓していくのです。八百万人は「やおよろずびと」と読みますが、アマテラスさんや大黒さん、スサノオさん、猿田彦さんなど様々な役割や力をもった個性的な八百万の神々と共に生きてきた日本人の原型を表しています。人も同じく八百万(やおよろず)で様々なひとがいるだろうし八百万の神々のように誰がエライでもなくそれぞれが自分の資質を生かして仲良く暮らせばみなハッピーという世界をイメージしています。 >用松さん


 八百万人で今話題になっているのが「番組づくりが地域づくり」になる理由です。16年間喋っているのですがわかったようでわからないことです。同じく住民ディレクターという発想が自己表現することで映像やテレビのプロとは全く違った映像世界を映し出しながらコミュニケーションを深めていけるノウハウになることもわかりにくいことです。もう体験するしかない!!と、いうわけで16年間ひたすら全国行脚してこれらの言葉や発想に何か興味を持たれる方々から次々と経験してもらってきたのです。言葉で伝えられないといけないという人もいますが経験しないと頭でわかったつもりでも結局はわからないという振り出しに戻ります。

今夜は書くことが増えてしまいましたが、大事な日です。さっき八百万人にも書きました。 

@写真は東峰村のおおらかな片岡ママと賢吉君の背中です。わたしからすると出会う前から住民ディレクターという人です。

 


 昨夜熊本で収録や打ち合わせをしていて気づいたことですが地域づくりを実践している人達の間では情報発信、特に中継に関してはとうほうTVと八百万人の名前が知られてきていますね。

 これまで一貫して住民ディレクターネットワークで開発してきた30元中継システムは16年経ってやっと多くの同志!?の皆さんのお役に立つことが「見える化」してきたんだと感じます。東峰村、全国の住民ディレクターネットワークの母体である一般社団法人八百万人(やおよろずびと)、全てのスタートとなったNPOくまもと未来、そして合志市のすみっこの台所、そこで番組づくりをOJT実践しているあぐっと!村とこれまでずっと繋がりの中でやってきた中継システムがだんだんと全体像として見えてきつつあるようです。

 さてそのネットワークでこの11月1日(木)に東峰テレビ局の2周年と八百万人の1周年を一気に12時間中継します。詳細はまもなく出しますがまずは八百万人のこちらで視聴できますのでよろしくお願いします。

@ちなみにこの写真は毎夜毎夜とは言わぬまでもしょっちゅう深夜にはじまる全国ネット打ち合わせです。女性陣が多いです。これも一種の井戸端会議でしょうか?


 熊本県合志市の情報発信拠点食堂「すみっこの台所」での毎月のケーブルテレビ収録は2年目も半分を越えて相当力がついてきました。昨夜はあぐっと!村のイケメン農家吉永村長、三山会長の二人とわがNPOくまもと未来の澤副理事長、吉村事務局長が互角に組んで見事な農家&生活者タッグリポートでした。

 話題も農家の収穫の秋を綴る稲刈り、小松菜、ほうれん草などの農家現場の話題を生活者が突っ込んで聞きます。また町のカフェの高級スィーツや社会活動に取り組む人達の話題を農家が普段着の感覚で聞いていきます。都市と農村の交流ということが随分前から言われていますがここでは場所も人も出てくる話題も全部が農村も都市も一体となっていきます。

 そういうことを目指しているのが若手農家を核として企業や行政、NPOが応援して組織するあぐっと!村です。そのあぐっと!村の情報受発信と生活者との交流促進を担うのがわがNPOくまもと未来です。しかもステージが農家の産物を調理、加工して生活者に提供する食堂でここに合志市の活発な地域活動家が集まっています。普段の暮らしがそのまま番組になっていきます。

 番組づくりが地域づくり、まちづくりになっていく背景はこういう基本の構造にあります。

 今夜も住民ディレクターNewsに書きたいことが山ほどあるわけですが書けないのです。時間がないのですね。という先からあと5分で次の全国ネット会議です。今からですよ。23:00から。なので書くべきことを熱々のまま書けない時はずっと朝から続いている時です。プロセスをお見せするブログとしては一度はお伝えしておきたいことでした。


 小石原焼の窯元はこうやって縄をなえる人も多いとおもいます。元々半農半陶で生まれ育った産業ですから自ら米を作り野菜を作り、農家の水瓶や大皿を作っては売歩かれていたんですね。農業から生まれる副産物である藁や野菜、花なども多様な使い方を産み出していったことが生活雑器という「用の美」を形づくっていったんでは?と私論で考えます。

 住民ディレクターという発想は熊本県内98市町村を5年半かけて地域の一次産業に関わる方々と親しくなっていく中で自然と生まれた発想でした。地域に根ざしたこれらの暮らしを発信するには映像という道具が便利で生の声、現場の音を丸ごとお伝えできるわけです。民陶むら祭の5時間中継で小石原焼の現場を歩きその一つの完成型のような気がしました。

 縄を綯っているのは高取焼きの八仙窯の八仙さんですが優雅な茶器の並ぶ茅葺きの建物の裏庭でこういう暮らしぶりが毎日あるのです。住民ディレクターは民俗学的な表現が根底にあるのはこういう暮らしぶりがあり特に古代から豊かな男女関係があり、それはジェンダーという外来語では見えない豊かな豊かな男と女の世界の表現に繋がっていると感じます。昨日あった岩屋神社のこも替えはまさにそういう暮らしの集約のような祭でした。


 こも替えは午後2時半頃に無事に終えました。全員が目隠しし、芝の葉っぱを口にくわえて厳かにとり行われました。通常のニュースならこうですが実際は現場では方言丸出しで「ああせろこうせろ(ああしろ、こうしろ)」「そこばきびらんば(そこをくくらないといけない)」などとの声が行き交います。今のわたしには一人一人の顔や性格がわかるのでその会話の面白さが伝わってきます。

 全然関係性が無かった2年前ならこういう会話もきっと「厳かに」聞こえていたことでしょう。知り合いがやっている光景と全く見ず知らずの方々の神事では見る側の受け方が全く変わってきます。こうやって日常から関係性があって取材すると一人一人の動きも自然と撮影されていきます。かくして厳粛なこも替え神事は親しみやすくユーモラスな伝統行事として記録され、村民にこれまでとは全く違ったニュースを届けることになっていきます。